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連載・人事戦略2020(2)
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【設計事務所新卒採用 7割が前年比で増加/獲得競争の激化に危機感】
日刊建設通信新聞社が実施した人材採用調査に回答した建築設計事務所21社のうち、4月の新卒採用数は全体の約7割を占める14社が前年実績を上回った。「予定どおり確保できた」と回答したのは12社。一方、「予定枠の確保に苦労した」は5社、「最終的に予定枠を確保できなかった」は2社だった。全体の8割に当たる17社が「人材不足を感じている」と回答し、学生の就職活動早期化やゼネコンの早期採用決定を背景とした人材獲得競争の激化に危機感を持つ事務所も出始めている。
建築設計事務所の新卒・中途採用状況
*単位は人数。新卒は該当年4月採用で、カッコ内は技術系。中途は該当年度で、技術系と事務系の総数。「-」は未定または回答なし。NTTファシリティーズの技術者総数は電気系を含む4月の新卒採用について、IAO竹田設計、NTTファシリティーズ、昭和設計、松田平田設計、山下設計は「予定枠の確保に苦労した」、あい設計、日総建は「最終的に予定枠を確保できなかった」と回答した。
採用活動の状況については、「採用計画数は達成できたが、傾向として学生の就職活動の早期化や理系人材の獲得競争激化を感じた」(NTTファシリティーズ)、「ゼネコンの採用活動が非常に早く、優秀な人材がゼネコン大手に流れた」(安井建築設計事務所)、「ゼネコンの早期採用決定など、業界内での採用活動開始時期の認識差が大きい」(松田平田設計)という声が上がっている。
多くの事務所が人材不足を感じている一方、東急設計コンサルタント、日建設計、松田平田設計は「人材の不足感を感じていない」と回答した。
今後採用を増やす方向で検討している部門(複数回答)は、「設備」への回答が10社で最も多く、以下、「構造」の6社、「意匠」の5社、「都市計画(まちづくり)」の4社と続く。増員の理由は、人材構成の高齢化対応が目立つ。
「その他」への回答は5社あり、BIM、IT系などの分野で増員の動きがある。梓設計は「設計のBIMに伴う増員」、日建設計は「IT推進の一環でデータ解析分野を新規で設定」するため、IT系の増員を検討している。昭和設計は「マネジメント」、東畑建築事務所は「環境計画」と回答した。
20年度の初任給や基本給、賞与などの引き上げを「検討している」としたのは8社、「既に実施を決めた」は4社あった。INA新建築研究所は「5000円のベースアップ」、梓設計は「業績に応じて賞与に反映させる」、日総建は「昨年から社内に処遇制度検討委員会を設置し、給与改善も含めて検討している」と回答している。
建築士試験の受験要件見直しを盛り込んだ改正建築士法が採用活動に与える影響については、8社が「影響はない、または少ない」としている。一方、「新卒採用選考時の学科合格の可否については、あくまでも参考程度とし、人物本位での選考を重視する」(日建設計)、「新卒採用で建築士資格権利の保有も採用判断の1つになるが、個々の能力を総合的に考慮する」(松田平田設計)、「必須条件とはしないが、学生時代の1級建築士試験の受験状況を確認することになると思われる」(安井建築設計事務所)という回答もあった。久米設計は、「幅広く人材確保につなげるように、現在評価基準などを検討中」としている。
このほか、「経済的に余裕がある大学院生が、より有利になる可能性がある」(東急設計コンサルタント)、「学生が学業より資格取得に力を入れ、設計の力量が低下する」(INA新建築研究所)といった声も上がっている。 (岡部敦己)
残り50%掲載日: 2020年3月3日 | presented by 建設通信新聞