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  • 建設論評・行動変容が変えるもの

     経団連は会員企業を対象に実施した、テレワークへの取り組み状況など、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策に関する調査(調査期間4月14-17日)の結果をまとめた。テレワークや在宅勤務を導入しているとの回答は97.8%となり、政府の緊急事態宣言を受けて、ほとんどの企業が取り組みを始めている。

     

     一方、テレワークや在宅勤務者の割合(金融、電力、医薬、公共工事など除く)は、「8割以上」が36.1%、「8割未満-7割以上」が16.3%で、7割以上は52.4%にとどまる。「7割未満-5割以上」は20.3%、「5割未満」は27.3%だった。

     

     「テレワークや在宅勤務を導入・拡充するに当たって最も障害となっている事項」に対する回答割合は、「従業員の業務の性質(情報管理上の懸念も含む)」が74.8%で最も多く、以下、「ITなどの設備の不足」の18.3%、「対応への時間不足(制度設計など)」の2.2%と続く。

     

     調査結果からは、瞬く間に広がる“見えない敵”の攻撃に、とまどいながら働き方の変容を迫られる企業の苦戦ぶりが浮かび上がる。

     

     テレワークの導入・拡大に当たっては、さまざまな課題が山積している。中でも業務実態の適正な把握は大きな課題だ。コロナ禍で企業側が分散した社員の仕事ぶりを、いかに適正に把握するかに頭を抱える中で、パソコンの操作内容を記録して見える化する、あるソフトウェアが注目を集めているという。

     

     このソフトはキーボードやマウスの操作内容をすべて記憶し、仕事に関係のないホームページを閲覧した場合の履歴も残る。もともとは各社員のパソコン操作の情報をビッグデータ化し、業務改善につなげるために開発したが、社員の行動を把握するために活用を検討する企業からの問い合わせが急増しているという。

     

     ICT技術を駆使したテレワークは「働かざる者」をあぶり出す。管理ツールによって、これまで以上の管理強化、成果至上主義が進む可能性も孕(はら)んでいる。出社して、存在が目に入るだけで容認されていた時代から、具体的な成果が求められる時代への移行だ。

     

     働き方を始めとする行動変容は、まちづくりにも大きな影響を与える。このままテレワークが拡大、定着していけば、電車を使った通勤客も減り、鉄道との接続や人が集まることを前提に組み立てられてきた、まちづくりのセオリーは大きく姿を変えるだろう。

     

     例えば、公共交通機関を基盤に都心駅周辺に商業施設を重点配置する「公共交通指向型都市開発」(TOD)など、駅を核としたまちづくりの概念はテレワークの時代には適合しなくなり、新たなビジネスモデルが求められることになる。

     

     人口減少・少子高齢化社会の進行に加え、ICTの急速な発展など社会の構造が大きく変わる中で、利便性、効率性を優先してきた都市・まちづくりのあり方は大きな転換期を迎えている。(音)

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    掲載日: 2020年4月30日 | presented by 建設通信新聞

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