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  • パンデミックとインフラ/建設論評

     1月から日本を襲っていた新型コロナはついにパンデミック(世界的大流行)となり、東京五輪・パラリンピック大会の1年延期に続き政府は4月7日に「緊急事態宣言」を発し、密閉・密集・密接の「3密」を避けるために「新しい生活様式」で事業活動・外出の自粛を国民に要請した。この宣言により全国の社会経済活動は停滞し、日銀の見通しでは2020年の成長率は3-5%のマイナスになるという。

     

     日本より厳しい制限を行って来た欧米も経済状況の悪化に耐えられず、感染状況にやや改善が見られたのを機に緩和を打ち出している。

     

     日本でも緩和を望む声が高まっていたが、やはり予定の5月6日に緊急事態を解除することは難しく、5月31日までの延長となった。

     

     専門家は100年前のスペイン風邪が2年続いた経験から新型コロナは第2波、第3波と1年以上続くとみているようだ。

     

     今回の延長による経済的打撃はますます大きくなるであろうが、いまは「新しい生活様式」のもと、政府の緊急経済対策と出口へのロードマップに期待したい。

     

     インフラ産業においても経営は厳しく、事業自粛や出勤困難により破綻(はたん)に直面している企業も多い。公共事業では、国土交通省に中断を申請した契約件数は4月23日時点で1120件に及んでいるという。

     

     その一方で、インフラに期待される3つの役割はますます重くなっている。役割の1つが医療、物流、ごみ処理、下水道など社会の静脈や情報を含めたライフラインとそれに携わる人の交通の確保である。パンデミックが続いていても社会的大混乱とならないのは、医療関係者の献身とインフラがその役割を果たしているからなのである。

     

     2つ目は防災対策である。今回のパンデミックはまだ1年以上続くとみられるが、その間にも巨大災害の危険は続き、間もなく始まる雨期の災害発生も懸念される。パンデミックと同時に防災に取り組む負担は大きいが、インフラはその役割を果たさねばならないのである。

     

     3つ目は国際協力である。パンデミックの対策は「3密」を避け、手を洗うこととされているが、飲み水さえ事欠く途上国で手を洗うことができるはずがない。ウイルスは変異しながら伝播していくとされている。その点でインフラ整備によって途上国のパンデミックを抑えることは、先進国への逆流を防ぐという利益にもなるのである。緊急時には医療が中心になるが、それを支えるためにもインフラが欠かせない。

     

     以上の3つの役割をパンデミックの中で担うのは極めて困難であろう。しかし困難であるからこそ、インフラの倫理である「利他」の精神をもって当たることが期待されているのである。

     

     そして企業には、この機会に働き方改革の一環としてもテレワークやBIM/CIMの推進を、政府にはインフラ産業がその社会的役割を果たせるよう経営を安定させる施策の実施が求められる。 (地)

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    掲載日: 2020年5月12日 | presented by 建設通信新聞

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