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建設論評・ニューノーマル
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>新型コロナウイルスが発生して以降の社会を、感染対策が日常化した社会としてニューノーマルと呼んでいる。それは社会的距離等のさまざまな感染症対策を日常化して、これからの社会に、ある覚悟を促す言葉として有効である。
ただ、歴史的にみると感染症は多くの犠牲者を出しながらも、抗体保有者の増加、ワクチンや治療薬の開発等により、ある期間を経て縮小していく。今回の新型コロナウイルスがその例外ではないと言える確証はないが、時間を経て縮小していくことを望むばかりである。
一方、別の意味でのニューノーマルが社会に定着する可能性に注目したい。
テレワークで完璧とまではいかなくとも、ある程度の仕事をこなすことが可能だと分かってきた。リモート授業はまださまざまな問題を抱えてはいるものの、実用的であることもわかってきた。満員電車で長時間通勤通学する意味が何なのか、自分自身に問い直す人もたくさんいるのではないだろうか。
いままでとは違う働き方が可能であり、そのツールも既にそろっている。産業構造さえ変わる可能性を示唆されている今回の新型コロナショックを機に、社会の仕組みそのものを見直す機会とするのもいいのではないだろうか。
建設業においては、大手ゼネコンの工事が再開し始めた。建設業の物づくりにおいて「3密」は避けられないとはいえ、その可能性を最小限にするアイデアがこれから先の課題である。前提はペーパーレス化とタブレット、さらに音声認識システムの活用である。
図面はタブレットが紙の代わりとなり、報告書は音声認識システムがその任を担うことになる。現場の進行状況は現場事務所でモニターを見て確認すればよい。現場で使いやすいICTを積極的に導入しようとする意志が、新商品の開発やその利用拡散につながっていく。
朝礼は全員が集まって行うという固定観念を捨て去り、各持ち場の作業場で、あるいは資材置き場で、モニターとカメラで行うことも可能である。一体感のなさに戸惑うかもしれないけれど、それがニューノーマルという現実なのである。そして慣れてくれば、違和感もやがてなくなるに違いない。職長と現場監督がいつでもタブレット上で意見交換できる環境を整えておくことも大切である。
ウェブ会議では参加者の一体感や雰囲気の共有ができない半面、対面していないので率直な意見が出やすかったり、その場の忖度(そんたく)で結論が誘導されにくいとの指摘もある。新しいツールや環境の変化を恐れず、導入によるメリットを追求する姿勢が大切である。
受注生産の現場作業というICTが最も定着しにくそうなところにこそ、新しいアイデアの生まれるチャンスがあり、変化の可能性が大いにあるはずである。
ニューノーマルを新たなチャンスを生み出す好機ととらえて、チャレンジしてほしいものである。 (泰)
残り50%掲載日: 2020年5月14日 | presented by 建設通信新聞