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  • 建設論評・ウィズ・コロナへ

     新型コロナウイルス対策で、全国の都道府県を対象に出されていた「緊急事態宣言」が39県で解除され、密閉・密集・密接は「クラスター対策で感染拡大を防止できるまで抑え込むことができた」(安倍総理、5月14日の会見)と一定の成果を上げた。解除に至らなかった8都道府県も21日をめどに再検討し、基準に見合えば解除され、相変わらず感染拡大などの可能性が残れば、5月末まで緊急事態宣言の地域として残る。

     

     「解除しても大丈夫なのか」との声は少なからずあるもののパンデミックに悩む先進諸国が「個人の人権」をベースに、「行動の自由」の制限を緩和せざるを得ないと判断しだしたことも大きかったのではないかとの見方もある。無論「経済が閉塞して死ぬのも、コロナウイルスで死ぬのも、死ぬのに変わりはない」という中小・零細会社のオーナーたちの意見も強く影響したとされる。

     

     確かに「経済」と「3密」が天秤にかけられ、じわりと「経済」に傾斜したようにも見える。コロナ禍は、2020年3月期決算発表で、大手企業にも影響を見せているのだから、深刻な問題だと受け止めなければならない。与党関係の幹部は、「大手企業の決算でもはっきりとし、雇い止めなど雇用にも影響が見える」とし、第二次補正予算案では大手・中堅企業の資本拡充策として、経営に影響の出ない「資本性劣後ローン」の導入の検討を始めた。

     

     20年3月期決算は各社とも決して悪いわけではない。逆に過去最高の売上高を記録する企業も多い。つまり、決算発表で恒例の来期予測が「コロナ禍」で見通せないのだ。例えば、13日に発表された大成建設の21年3月期の連結純利益は前期比54%減の560億円に落ち込むとされ、「新型コロナの動向次第で大きく変動する可能性がある」というし、売り上げが数兆円規模の化学メーカーですら「21年の業績予測」は見通せないとする姿勢を示した。海外でのビジネス展開が大きければ大きいほど、米国、ヨーロッパの市場が惨憺たる状況であることは予想に難くないし、リーマン・ショックを上回る深刻さ程度の形容では済まないことも確かだろう。

     

     住宅メーカーの来期予測も厳しいものがある。大和ハウス工業は、15日に20年3月決算を発表したが、当期の売上高は4兆3802億円と10期連続の増収を続け、経常利益も3676億円と11期連続して増益となっている。その数兆円企業ですら、来期3月期決算では売上高3兆6500億円(対前年比16.7%減)、営業利益1700億円(同55.4%減)、経常利益1640億円(同55.4%減)と、営業、経常利益が半減以上の落ち込みだ。業績予測欄では「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う事業活動への影響」が残ると、一定の覚悟を示している。

     

     密閉・密集・密接を打ち破る新型コロナウイルスと折り合いを付けながら経済活動を継続する「ウィズ・コロナ」のための新たな建物づくり・街創生が求められる。 (能)

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    掲載日: 2020年5月20日 | presented by 建設通信新聞

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