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  • 日建連・意見交換中間まとめ/逆境を前向きに改革加速/担い手確保情報共有で具体施策

     日本建設業連合会(山内隆司会長)と国土交通省各地方整備局などが開催している2020年度の「公共工事の諸課題に関する意見交換会」が、5月28日の中国地区で折り返し点を迎えた。担い手対策の中核となる働き方改革と生産性向上については、受発注者間で情報共有してきた成果が具体的な施策として表れている。また、新型コロナウイルス感染症に伴って従来の作業習慣を見直さざるを得ないことで、作業効率を高める技術、ツールの導入促進につながっている。

     

     関東、四国地区の意見交換会で、日建連の茅野正恭公共工事委員長は「コロナ禍によって否応なしにさまざまな技術、ツールを導入する状況になったが、その効果を実感している」ことを吐露した。

     

     会合で活用しているテレビ会議システムに代表されるように、建設業もコロナ禍を契機とした新しい生活様式への転換に向け、打ち合わせや臨場などのオンライン化が進む。「仕事のやり方を含めて、新しいことにチャレンジする機会になる」と近畿整備局の井上智夫局長が話すように、逆境を前向きに捉えて働き方改革や生産性向上を加速させようとするベクトルは受発注者で一致する。

     

     また、関東整備局の石原康弘局長は「新しい働き方に取り組んで現状をブレイクスルーしなければならない」と力を込める。前向きな変化が一過性に終われば、働き方改革や生産性向上に影響するだけでなく、“変化に挫折した建設業”として業界全体のイメージ低下も危惧(きぐ)される。

     

     今回からメインテーマに設定した「ブレイクスルーするための新たな展開」では、オンライン化による作業効率の向上といった足元の取り組みに加え、日建連は「領域の異なるデータのやりとりの共通化に向け、技術開発の協調分野と競争分野を明確化した上で、協調分野は官民、異業種連携による協調領域のルールづくり」など、ブレイクスルーを継続させる先進的事業を提案。民間・産業単位の対応は難しい分野が多いため、国土交通省など行政機関の先導・協力を呼び掛けている。

     

     日建連が今年度の2大事業に据える週休2日の実現と建設キャリアアップシステムの普及は、各整備局とも本官工事で発注者指定方式週休2日工事を原則化するとともに、同システムのモデル工事を試行する。関東整備局はすべてのWTO案件(一般土木工事)で発注者指定型のシステム義務化モデル工事を適用する。

     

     宮本洋一副会長・土木本部長は、同システムが「建設技能者の処遇改善の切り札」であることを強調した上で、「官民を問わずすべての現場で進めていくことが重要」とし、各発注機関からの施策面の支援を訴える。

     

     工期・工程の共有も前進している。関東整備局は工事発注時の工程表などの開示に加え、受発注者双方が作成した工事工程の照合を実施。近畿整備局は入札公告時に概略工事工程などを開示、契約後の初回打ち合わせでは工事発注時のチェックシートを提示する(チェックシートは公告時開示を検討)。四国、中国両整備局は入札公告時に工程表と条件明示チェックリストを開示する。日建連はこれらの施策が直轄案件以外に波及し、自治体などの工事でも浸透していくことを期待する。

     

     生産性向上では、四国整備局が工事関係書類の適正化指針を先行して作成、書類の簡素化に努めており、中国整備局も続いている。中国整備局はプレキャスト(PCa)の工期短縮効果を貨幣価値化する考え方を導入する。現場打ちとの主な比較対象である総工費から脱却する契機になり得るため、日建連は「大きな意義がある」と評価する。

     

     ただ、四国地区の意見交換会で議題となったように、社会情勢や価値観の変化に伴う建設業の進化は外部に発信し理解を得ることで、担い手の確保・育成という最終目標を達成する。施策展開とともに、戦略的広報のあり方にも受発注者間の連携が求められる。

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    掲載日: 2020年6月1日 | presented by 建設通信新聞

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