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  • 日建連意見交換会総括・上/共同歩調で改革実現/進化へ現状打破/加速する変化に適切対応

     日本建設業連合会(山内隆司会長)と国土交通省地方整備局などによる2020年度「公共工事の諸課題に関する意見交換会」が、9日の東北地区で全日程を終えた。日建連が2大事業に掲げる「週休2日の実現」と「建設キャリアアップシステムの普及」に対して、各地方整備局などは具体施策で応じ、両者の共同歩調はより明確化された。今後は業界全体の改革推進に向け、自治体などへの波及が期待される。また、コロナ禍を契機として現状を打破しようとする動きが強まっており、さまざまな変化に適切に対応しながら、魅力ある産業を構築できるかも共通課題となりそうだ。

     

     全国9地区で実施した意見交換会では、週休2日が主題の1つだった。日建連は21年度末の4週8閉所の実現を目指しており、発注者指定方式週休2日工事の全面導入を求めた。8つの整備局では本官工事で試行、四国、中国両整備局は工種を限定し分任官工事にも適用する。

     

     会員企業を対象とした日建連のアンケート結果によると、4週8休の達成率(19年度実績)は発注者指定が受注者希望を10ポイント以上上回る約7割に達し、各整備局が本官工事などに適用拡大したことでさらなる増加が見込まれる。

     

     北海道開発局は、冬季豪雪という気象条件から降雪前の施工を望む受注者の意向を踏まえ、受注者希望を主体とする。4週8休の達成率(同)は約7割だったため、施工時期が限られる積雪寒冷地でも4週8休が可能であることを証明した。ただ、週休2日ではなく、工期全体で4週8休を確保する場合、工事最盛期には労働基準法の時間外労働の上限規制に抵触する恐れがあるため、その対策も求められる。

     

     さらに工事発注条件と実際の現場との不一致に起因し、計画どおりに着工できない案件も少なくなく、日建連会員の5割が「発注者の工期設定が短すぎる」と回答した。こうした現状を踏まえ、多くの局が本官工事で入札公告時または初回打ち合わせ時に概略工程表や条件明示チェックリストを開示するほか、一部の局は受発注者双方が作成した工事工程の照合、週間工程会議の実施、施工条件確認・工程調整部会の原則化、両部会への副所長の参加にも取り組む。

     

     日建連は、受注者の責任ではない工期変更に伴って週休2日の維持が困難となった案件が散見され、補正費用や工事成績評定にも影響しているため、工期変更後のルールの明確化を求めた。各局とも適正な工期変更を前提とし、中国整備局は「工期変更後も週休2日を考慮した工期設定とすることを仕様書に明記する」、北陸整備局は適切な工期延伸も発注者の責務と捉え「発注者指定方式を増やすことで対応する」考えを示した。

     

     日建連の宮本洋一副会長・土木本部長は週休2日に関する前向きな姿勢に謝意を表しつつ、「建設業も他産業並みに休めることが若い人たちの魅力付けの1つになる。そういった意味ではどこの現場も週休2日という状態が重要」と強調。その上で自治体を始めとする他の発注機関に対し、休日取得促進を呼び掛けた。

     

     東北、北陸地区などは管内発注機関を対象に「一斉閉所日」を指定し、休日確保への意識喚起を図っている。

     

     また、供用日に伴う工期制約などを要因に発注者が週休2日工事に指定しない案件でも、受注者は時間外労働の上限規制に適合しなければならないことから、日建連は交替制の導入を提案した。

     

     各局は維持工事で試行していることを紹介。近畿整備局は交替制の有効性に理解を示しながら、「下請業者は人員が限られる中で、現場閉所しないと(休日確保は)厳しいとの状況を把握している」との課題を指摘した。一方、技術者・技能者個人単位の残業抑制、休日取得は避けて通れず、「今後は契約後に元請業者と協議し、場合によっては交替制を認めるルールづくりを検討する」とした。

     

     日建連の担当者も「工種によって交替制に必要な人員、体制は異なる」ことを認識しているため、「発注者指定のモデル工事などで実績を重ね、そこから得られたデータを基に受発注者間で(工種ごとの)交替制の枠組みを固める必要がある」とみている。

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    掲載日: 2020年6月10日 | presented by 建設通信新聞

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