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日建連意見交換会総括・中/進化へ現状打破/キャリアアップ施策を前進/希望持てる就労環境実現
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>日本建設業連合会の宮本洋一副会長・土木本部長が、「建設キャリアアップシステムは建設技能者の処遇改善の切り札」と各地区で訴えたように、建設技能者が給料や休日で希望を持てる就労環境の実現こそが施工体制を維持する上で喫緊の課題となっている。
受発注者の連携により現場の週休2日が浸透する一方で、日給制が大半を占める建設技能者にとっては休日の増加が収入の減少に直結する。
同システムは4段階の能力評価制度に基づいて技能者を適正に評価する。その評価を踏まえ、請負単価が上昇すれば、技能者の給与面に反映されるだけでなく、専門工事業者の経営安定化にも寄与し、日給制から月給制への移行が見えてくる。週休2日への障壁は解消される。
建退共との連携による掛け金の確実な納付を含め、システムが制度インフラとして定着し、他産業並みの処遇を実現することで「若者が希望を持って入職してくれる」(宮本副会長)との期待は大きい。
国土交通省は、ことし3月に「直轄・自治体・民間のすべての工事を対象に2023年度のシステム原則化」を掲げた『官民施策パッケージ』を発表し、直轄工事でモデル工事の試行、工事成績評定の加点などを盛り込んだ。
国交省に要望してきた内容が同パッケージとして形になったことから、日建連はすべての現場、技能者の登録に加え、カードリーダーの設置促進をシステム普及の新たな取り組みに据えた。くしくも意見交換会の開催期間中には、国交省がシステム義務化モデル工事でカードリーダーの設置費用を負担することを表明、技能者の処遇改善に向けた両者の足並みは一致する。
各地方整備局などは同パッケージを踏まえ、20年度からシステム義務化モデル工事とシステム活用推奨工事を試行する。義務化モデルはWTO対象の一般土木工事1件を目安とするが、関東整備局はすべてのWTO案件(一般土木工事)で適用する方針を示した。
ただ、限定的なシステム活用ではなく「全地域、全現場、官民を問わず進めていく」(宮本副会長)ことでシステムメリットをすべての技能者が享受できるため、日建連以外の建設業団体や自治体、民間企業などへの浸透が求められる。
山梨県や長野県、福島県などの一部自治体は、システム登録を総合評価落札方式で加点する。週休2日工事と同様にインセンティブ(優遇措置)の付与を通じて、システムの普及に努めており、他の自治体への波及が期待される。
「労務費見積り尊重宣言」促進工事については、ことし1月から実施している関東整備局の先行事例を皮切りに、20年度から複数の整備局でも試行する。九州、北陸、東北整備局は検討中だが、「建設技能者賃金を全産業労働者平均に向かって持続的に引き上げていく」ことを目的とした同宣言の実効性を高める上で、清水琢三副会長・土木本部副本部長は「最低1件でも試行していただきたい」と要望した。
週休2日の実現と、建設キャリアアップシステムの普及による技能者の処遇改善は、建設業の今後を左右する働き方改革に包含される主要な施策だが、新型コロナウイルス感染症という困難を契機としてその改革全体が大きく前進しようとしている。
残り50%掲載日: 2020年6月11日 | presented by 建設通信新聞