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  • 連載・土木技術者が歩く走るインフラツーリズム(17)

     羽田空港、横浜港といった日本の玄関口が面する東京湾は、観光価値も非常に高い存在です。東京湾は都市住民にレクリエーションの場としても親しまれているほか、湾岸には多くの海浜公園や自然保護地区、優れた遊歩道なども点在しています。けれどこれらの優れた海岸地区は点として存在、点を結ぶ線にはなっていないのが現実です。

     

     今回、土木系大学教授や土木技術者などで構成される「NPO法人シンクタンク日本 東京湾トレイル推進メンバー」が、千葉県、東京都、神奈川県が接する海岸やその近傍を、歩き・走りながら見て感じた、インフラツーリズムの模様を月1回のペースで掲載します。【お台場からレインボーブリッジ/江戸幕府の土木技術に驚嘆】

     

     東京都民のあこがれる海浜公園の一番に取り上げられるのがお台場海浜公園である。

     

     きょうは新交通ゆりかもめのテレコムセンター駅からいくつかの海浜公園を越えて歩きレインボーブリッジを渡る。

     

     テレコムセンター駅を降りて左に曲がり青海縦幹線大通りに出て青海南ふ頭公園、さらに青海北ふ頭公園まで歩く、この北ふ頭公園の岸壁には1956年から62年にかけて南極探検で活躍した観測船宗谷が係留されており、内部の見学ができる。

     

     さらに東八潮緑道公園に歩いて行く。この公園もきれいに整備されており、ここには船の科学館がある。

     

     ここから潮風公園に行くには東京港トンネルの入口の上を通過してゆくことになる。潮風公園も整備された公園であり海岸沿いの護岸の上を楽しみながら歩くことができる。お台場海浜公園は2つの離岸堤と品川(第三)台場に挟まれた人工海浜であり、2021年に開催予定の東京オリンピック2020年のトライアスロン競技コースとなるところである。

     

     お台場の歴史は古く、江戸時代に遡る。米国のペリーに率いられた黒船艦隊が来航したのを機に江戸の防衛のために造られた海上砲台基地である。現在お台場の砂浜と接続しているのは品川台場といわれる第三台場であり1854年に建設された。

     

     現在無人島として残されている第六台場は変形の5角形をしている。

     

     これらの台場は房総半島の山砂などを用いて埋め立てられ周囲に石垣がつくられている。

     

     黒船の来航に驚いた江戸幕府が海上に8つもの台場(人工島)を築いて防衛にあたろうとした努力は驚嘆に値するものであり、また当時の土木技術が優れていたことの証明でもある。

     

     品川台場の付け根から対岸の芝浦ふ頭をつないでいるのがレインボーブリッジであり、1993年に完成した。橋長は台場側アプローチ部1367m中央部が吊り橋で918m、さらに芝浦側がループ部を含むアプローチ1465mで構成されている。通行路は上下2層で構成されており、上の層には首都高速道路台場線、下層の中央部には新交通システムゆりかもめ線が、その両側に臨港道路海岸青海線が通る。この下層の両側に歩道が設けられており、歩いて渡ることができる。なお自転車は手で押して渡るように指示されている。

     

     レインボーブリッジの橋げたの高さは52mであり、大型客船が東京港に入れない理由である。大型客船出入港のことを考慮すれば、より高い橋げたが必要であったが、羽田空港に離発着のために上空を通過する航空機に対する高さ制限から、52mということになってしまった。過密な市街地の上空に飛行機を飛ばし、かつその下に船の航路を確保しなければならないという東京の宿命を感じた。

     

     歩道は幅員が2.2mから1.55mと狭く通行しにくい。歩道を自転車も通行するには3m以上が欲しいところである。

     

     歩いて渡った芝浦側はループ橋の手前でエレベーターに乗り芝浦ふ頭に下り、そこからゆりかもめ線の芝浦ふ頭駅に至る。

     

    (東京湾トレイル研究会 鈴木明人)

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    掲載日: 2020年6月11日 | presented by 建設通信新聞

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