当サイトについて 採用ご担当者様
会員登録はこちら 求人検索

建設技術者向けNEWS

建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!

  • “規制逃れ一人親方化”に強い危機感/社保加入の根幹 揺るがす問題/国交省 6月25日に検討会

     国土交通省は、社会保険加入や働き方改革などの規制逃れを目的とした“社員の一人親方化”問題に対する検討に着手した。業界を挙げて社会保険加入対策を推進している中で、法定福利費など労働関係諸経費の削減を意図した偽装請負の一人親方化に「社会保険加入対策の根幹を揺るがす重要な問題」と強い危機感を抱いている。25日に「建設業の一人親方問題に関する検討会」をスタートさせ、実効性ある対策を検討し、政策に反映する考えだ。

     

     15日に開催した建設業社会保険推進・処遇改善連絡協議会の第4回会合で一人親方の現状や課題の論点、検討会の設置などについて報告した。協議会の中で青木由行土地・建設産業局長は、一人親方の偽装請負問題に触れ、「建設業界のいろいろな問題点がある中で、不明瞭・不明確な雇用関係が業界の悪いイメージをつくっているのは事実だろう」と述べた。

     

     同協議会の会長を務める蟹澤宏剛芝浦工業大教授は、偽装請負状態の一人親方では新型コロナウイルス感染症を踏まえた各種給付金、保険、助成金などの受給対象とならず、仕事がなくなればすぐに収入がなくなると指摘。「国が用意したセーフティーネットに何も引っかからない。そんな人がたくさんいる業界に若い人は入ってきてくれない」と懸念を示した。

     

     同省が2019年度に実施した調査によると、「専属的に従事する一人親方がいる」企業は全体の約3割。その3割のうちの、27%の企業では直接雇用する社員より一人親方の人数の方が多いと回答した。さらに従業員9人以下の企業に限定すれば、その割合は半数近くに上る。

     

     専属的に従事していることをもって偽装一人親方とは断定できないものの、調査とともに実施したヒアリングでは、「事業主に指示されて、一人親方化している状況も多いのではないか」「就業形態がほとんど変わらないため、技能者本人が自らを一人親方と認識していない」といった意見も挙がっており、実態を明らかにして対応する必要性が高まっている。

     

     同省では実効性のある対策を打ち出すため、「建設業の一人親方問題に関する検討会」の設置を決定した。職種ごとの一人親方の実態把握や規制逃れを目的とした一人親方化対策、一人親方の処遇改善対策を主な検討テーマとする。

     

     検討会には有識者として、蟹澤教授と水町勇一郎東大教授、川田琢之筑波大教授が参加。業界からは元請団体や専門工事業団体が出席する。オブザーバーとして厚生労働省も参画している。25日に初会合を開催し、年度内に検討内容を取りまとめる。

    残り50%
    ログインして続きを読む 会員でない方はこちらよりご登録ください

    掲載日: 2020年6月18日 | presented by 建設通信新聞

前の記事記事一覧次の記事