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M&A 過去最多/建設業は5年で6倍に/中小機構
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>経営後継者不足を背景とした企業の第3者承継(M&A)が全産業で増加する中、建設業も専門機関を活用した事業引き継ぎが本格化している。職種を問わず、商圏拡大の観点から本社所在地以外の同業・異業他社に目を向ける傾向は顕著だが、地方の中小建設企業を対象としたM&Aは有事対応を始めとする地域の守り手としての体制維持、公共工事の入札参加要件に設定される地域要件の取得などが見込まれ、売り手・買い手双方の利点は少なくない。一方、一部地域の建設事業量の減少に加え、新型コロナウイルス感染症で経営面の先行きは不透明さが増しており、廃業選択による国内経済への影響が懸念される。
事業承継の産業別成約件数(年度別)
全国48カ所(東京都は2カ所)にある事業引継ぎ支援センターをサポートする、中小企業基盤整備機構中小企業事業引継ぎ支援全国本部によると、2019年度の取り扱い件数は相談が1万1514件、事業承継の成立(成約)が1176件でいずれも過去最多となった。相談は金融機関や公的機関による紹介のほか、100万通に上るダイレクトメールが奏効し、件数の増加につながっている。相談内容は譲渡希望と譲受希望がほぼ半々だった。
年間で1100件を超える成約件数は事業承継に携わる国内の機関・企業でトップクラス、世界的にも多いとみられる。創業、独立・開業希望者を登録する後継者人材バンクを同センターに設置したことなどが件数増加の要因。後継者不在への対応を中心とするため、成約内容はM&Aが大半を占めるが、親族や従業員への承継の実績も着実に重ねている。
産業別の内訳は、建設業が131件で、全体の11%を占める。比率は1割程度で推移するものの、件数は他産業と同様に年々増加し、15年度比では約6倍となっている。
市場開拓に向け、全産業とも本社所在地ではない地域の企業を買収する流れが鮮明化しつつある。地方の中小建設企業の場合、次の経営者がいないもしくはその候補を探している売り手にとっては、社会資本の整備・維持管理や災害対応を通じて地域の安心・安全に貢献するという役割を維持できる一方、買い手は売り手が持つ地域貢献や工事実績、技術者などを引き継ぐことで、公共工事を始めとする当該地域の建設事業を取り込める。
成約案件には個人による専門工事業者の買収なども含まれる。
▼事業量減少、コロナ禍が事業継続に影響
中小企業庁は、全国の中小企業経営者の平均年齢(18年時点・62歳)と引退年齢(70歳)に基づいて、25年までに245万人が70歳以上を迎え、そのうち後継者未定が127万人に上ると試算する。具体策を講じずに廃業が加速すると、25年ごろまでの10年間の累計で約650万人の雇用と約22兆円のGDP(国内総生産)が失われると予測され、同庁は事業承継を最重要施策に位置付ける。
コロナ禍の長期化によって経営面への不安と後継者不在が重なり、廃業を選ぶ企業が増加すれば、国内経済は大きな打撃を受ける可能性がある。また、建設業では東京五輪や東日本大震災の復興に伴う建設需要の落ち込みも顕在化する。
同機構事業承継・再生支援部の木口慎一審議役は廃業ではなく、事業承継という選択肢があることを周知しながら、「さまざまな相談に応じられるように引き続き(相談)体制を維持していきたい」と話している。
残り50%掲載日: 2020年6月29日 | presented by 建設通信新聞