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  • 都内公共工事の減少鮮明/都、市区いずれも件数2桁減/東保証の4―6月統計

    【蘇る2つのダンピング悪夢】

     

     2019年度公共工事で、全国の1割強を占めた東京都内の公共工事が減少している。東日本建設業保証がまとめた「公共工事動向6月累計(4-6月)」で、東京都内を工事場所にした工事請負額が前年同期と比べ11.5%減の4032億円にとどまった。発注者別の6月累計発注件数も、東京都は32.4%減の600件、市区も19.3%減の1011件といずれも2桁の落ち込みとなった。都内の中小建設企業は5月以降、さまざまな場面で工事量減少に悲鳴の声を上げているが、保証統計からも都内公共工事件数の減少が浮き彫りになった格好だ。

     

     東保証が営業の主戦場にしている東北、関東、甲信越、北陸、東海、その他の各地区の6月累計請負額は、2.1%減の2兆9219億円にとどまった。減少額は638億円、工事場所・神奈川が975億円、同・東京が525億円それぞれ減少したことが響いた。

     

     請負額は、大型プロジェクトの発注と出来形の進展で大きく変動する。そのため中小企業向け政策の判断材料の1つが発注件数だ。

     

     実際、東保証の6月累計発注者別前払金保証取扱高を見ると、東京都が発注した件数は32.4%減の600件と大きく落ち込んだものの、請負額は18.1%増の1417億円と2桁増となった。大型プロジェクトや過年度発注分が請負額を押し上げた。

     

     一方、東京都内の市区が発注した6月累計件数は19.3%減の1011件、請負額も19.6%減の767億円だった。件数、請負額ともに2割近くの落ち込みで、市区発注工事を主戦場にしている中小建設企業にとっては打撃となっている。

     

     全国的にはなんとか前年同期並みに近づいている公共工事だが、これまでけん引してきた東京都内工事が、2020東京五輪施設の完成や新型コロナウイルス感染症拡大に伴う工事発注の抑制などによって大きく落ち込み、その影響を中小建設企業が受けていると言われ始めていた。

     

     事実、日刊建設通信新聞社が調査した、東京都の20年度第1四半期(4-6月)工事改札件数(特殊工事を除く)が前年同期と比べおよそ4割減少していることが浮き彫りになっていた(詳細は7月6日付、7日付、8日付の4面に掲載)。

     

     東京都はコロナ対応として4月8日から5月7日にかけ、緊急工事や生活・防災に関する案件を除き、原則新規工事などの公告を停止した。さらに都は、コロナ対応に人員を充てる特別体制に移行している。

     

     コロナ対応に全力を挙げる構図は、市区町村も同じだ。市区行政も都のこうした動きに合わせたことで、件数、請負額ともに2割程度の落ち込みにつながったとみられる。

     

     都内と都内近郊を現場とする中小建設企業にとっての不安の種は、第1四半期に予定されていた工事発注が延期になったことだけではない。

     

     地元の中小建設業経営者の現状と先行きの見方は、「新型コロナによる経済低迷、膨れあがるコロナ対応予算、ことしも甚大な被害となった豪雨災害などで、来年度公共工事予算がどれだけ確保されるのか不透明さが増している。われわれの先行き不安が拡大すれば、ダンピング(過度な安値受注)に拍車がかかりかねない」ことで一致している。

     

     こうした懸念材料に加え、「この十数年間、われわれは自らのダンピングだけでなく、(JVや下請けで参画する事業を受注した)全国ゼネコンの価格ダンピングと工期ダンピング(著しく短い工期での受注)の影響も受け、経営を圧迫してきた。同じことが起こりそうないやな予感がする」。さらに別の不安も増幅している。

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    掲載日: 2020年7月14日 | presented by 建設通信新聞

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