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  • Topics・拡大するテーマパーク整備/アフター・コロナへ期待

     大型テーマパークの拡張事業や新施設の建設計画が相次いでいる。観光・インバウンド需要の盛り上がりを受けて設備投資に踏み切ったが、新型コロナウイルスの影響で状況は一変した。営業を再開した施設もあるが、入場者数を制限し、外国人観光客はほとんど見込めないなど、今後しばらくは厳しさが続きそうだ。しかしアフター・コロナに向けた期待とともに、事業は動き続けている。周辺エリアのまちづくりに与えるインパクトも大きい。主なプロジェクトにスポットを当てる。

     

    ◆大規模施設拡張相次ぐ

     

     既存の大規模施設の拡充を進めている代表格は、ディズニーランド・ディズニーシーを運営するオリエンタルランドだ。2014年に「23年までに年間入園者数を3000万人レベルとする」ことを目標として掲げた。その後、入園者数レベルが想定よりも早いペースで増加傾向を示していたため、「目標達成を20年度へと前倒す」として開発計画の一部を見直し、大規模拡充にかじを切った。

     

     過去最高となる約2500億円をかけて拡張するディズニーシーは、8番目のテーマポート「ファンタジースプリングス」を開発する。同社は「東京ディズニーシーの魅力と体験価値がさらに高まる」と期待を込めた。設計は日建設計、施工は鹿島と大成建設が担当。

     

     施設の規模は23棟総延べ10万3240㎡。ディズニー映画『アナと雪の女王』『塔の上のラプンツェル』『ピーター・パン』の世界を4つのアトラクションなどで再現した3つのエリアによる新テーマポートと、最上級ランクの475室を持つディズニーホテルを整備する。

     

     ディズニーランドでは約750億円を投資して、約4.7haに▽美女と野獣「魔法のものがたり」▽ファンタジーランド・フォレストシアター▽ベイマックスのハッピーライド▽ミニーのスタイルスタジオ--を新規開発する。設計施工は大成建設が担当。

     

     新型コロナの影響で、これら新施設のお披露目に遅れが生じている。20年春の開業だったディズニーランドの大規模開発施設は、「再開後の状況を見て開業日を決める」とした。ディズニーシーは22年度から23年度の開業へずれ込んだ。既存施設の営業はともに1日から再開した。

     

    ◆ゲームの世界観を再現

     

     ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は、任天堂のキャラクターと世界観がテーマの「SUPER NINTENDO WORLD(スーパーニンテンドーワールド)」を開発中。600億円超を投資した「集客拡大の起爆剤となるエリア」だ。

     

     任天堂の宮本茂代表取締役は「任天堂のおなじみキャラクターが目の前に現れ、直接触れ合うことで、ゲームの中に自分が入り込んだかのような体験をしていただきたい」と意気込む。

     

     宮本勝浩関西大名誉教授の試算(16年12月発表)では、新施設オープン後10年間のUSJが創出する経済効果は近畿圏で約6.2兆円、全国では約11.7兆円、雇用効果は約108万人に及ぶとした。

     

     当初は今夏の開業を予定していたが新型コロナの感染拡大に配慮し、1日に開業延期を発表した。秋ごろをめどに開業時期を発表する予定だ。

     

    ◆遊園地をリニューアル

     

     需要増に応える投資がある半面、てこ入れに投資する施設もある。西武鉄道は刀(森岡毅代表取締役CEO)と共同で、総延べ約20万㎡の西武園ゆうえんち(埼玉県所沢市)を、21年度早期にリニューアルオープンする。1988年度には年間194万人だった来場者数が、18年度には約49万人まで落ち込んでいた。西武鉄道は「西武園ゆうえんちのリニューアルを起点にこの状況を打破したい」考えだ。

     

     森岡CEO(最高経営責任者)は同プロジェクトについて「非常に難易度が高い」と指摘する。「日本のエンターテインメント集客施設がどんどん減っているという大きな流れの中で、西武園ゆうえんちが持続可能な事業に蘇ることの意義は周辺地域にとって素晴らしいこと。(西武園ゆうえんちの)やり方を見ている小中規模の多くの同業施設の皆さんに勇気を与えることでもある」と力を込めた。

     

     60年代の日本をイメージし、映画『ALWAYS三丁目の夕日』のような「心あたたまる幸福感に包まれる世界」をテーマとした遊園地に生まれ変わる。西武建設の設計施工で19年12月に着工、総事業費は約100億円。

     

    ◆公園核にまちづくり

     

     愛知県が愛・地球博記念公園(長久手市)に整備するジブリパークは、スタジオジブリ(東京都小金井市)のアニメ作品を表現する。概算事業費は約340億円。

     

     対象は公園全体約194haのうち約7.1haにあたる▽青春の丘▽ジブリの大倉庫▽どんどこ森▽もののけの里▽魔女の谷--の5エリア。このうち青春の丘、ジブリの大倉庫、どんどこ森の3エリアを先行して整備し、22年秋の開業を目指す。ECI(施工予定技術者事前協議)方式を採用し、先行開業する3エリアの本体工事を鹿島と6月1日に仮契約している。

     

     同パークを核としたまちづくりも進める。大村秀章愛知県知事は「藤が丘駅を降りたらジブリパークだと感じられるまちづくりを名古屋市と連携して進めたい」と述べた。東部丘陵線の藤が丘駅周辺をジブリパークの玄関口とするまちづくりを進める方針だ。

     

    ◆閉園する遊園地も

     

     開発が進むテーマパークがある一方で、西武鉄道が土地を所有する「としまえん」は、8月末で閉園することが決まった。跡地となる22haのうちの一部で、西武鉄道やワーナーブラザーズジャパンなどが「ハリーポッターシリーズ」のスタジオツアー施設を設置し、30年間の運営を検討している。運営終了後は、東京都が練馬城址公園の広域防災拠点として整備する。

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    掲載日: 2020年7月14日 | presented by 建設通信新聞

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