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  • 残業 100時間超 日常業務に負荷/災害時の緊急対応状況実態調査/建コン協

     建設コンサルタンツ協会(高野登会長)は、2019年度に発生した災害時での緊急対応状況に関する実態調査の結果を明らかにした。特に災害対応業務件数が多かった台風19号では残業時間が多く、長時間労働の比率も高かったものの、労働基準法第33条申請した業務は2割強にとどまった。同協会ではこうした実態を踏まえ、8月6日の九州地区からスタートする20年度の国土交通省地方整備局などとの地方ブロック意見交換会で、被災地域に対する迅速で適切な災害対応と改正労基法順守との両立など、受発注者協働による環境整備を要請していく。

     

    【特例申請は2割どまり】

     

     調査は、働き方改革推進特別本部が5月に実施。19年度の災害を対象に、残業時間と労基法第33条申請状況、発注者からの指示状況などについて、会員企業にアンケート形式で聞き取った。56社から、8月の九州北部豪雨で43業務、9月の台風15号は10業務、10月の同19号が168業務の計221業務について回答が寄せられた。業務種別は災害査定業務や本復旧の詳細設計業務の割合が多かった。

     

     緊急対応従事者の残業実態では、45時間超過が九州北部豪雨で最大9人、台風15号は5人以下と少なかったのに対して、48社・803人が従事した台風19号では発災直後から年度末にかけてコンスタントに残業時間が多く、80時間、100時間以上の残業社員の比率も高くなっている。

     

     一方で、労基法第33条申請は九州北部豪雨が8件、15号3件、19号でも40件にとどまった。

     

     申請時期は事後が多く、19号での平均申請日数は116日、最大で6カ月まで受理されている。申請したが受理されなかったのが2社、申請書ではなく届出書での提出を指導された条件付き受理も1社あった。

     

     発注者の対応状況では、多くの業務で工期延期や中止命令など通常業務への配慮があったとし、特に19号では3分の2の業務で配慮があったとする一方、発注者から指示書が出された業務はいずれの災害でも2割程度だった。

     

     緊急対応従事者の手持ち業務を分担させるなど、他の社員への影響があった業務は、全体の半数となる112件で1業務当たり2-6人程度に10時間から30時間程度の残業の負荷が発生したとしている。

     

     同協会では、これらの実態を踏まえ、20年度の意見交換会でも既往業務の効果的な業務中止命令と工期延期の実施や管理技術者交代要件の緩和、労基法第33条の確実な適用への働き掛けなどを改めて発注機関に求めていく。

     

     さらに20年7月豪雨では「コロナ禍での初の災害対応となる」(高野会長)という新たな難題にも直面していることから、緊急を要する現地での活動と感染防止対策との両立について議論を深め、認識の共有を図りながら、より実効ある対策につなげていく考えだ。

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    掲載日: 2020年7月17日 | presented by 建設通信新聞

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