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  • 経営軸線・トッププランニングJAPAN

    【「日本アスベスト処理技術機構」設立】

     

     超高圧の水圧を利用して専用器具でアスベスト含有塗膜を剥離(はくり)する「バキュームウォータージェット(VAWM)工法」を有するトッププランニングJAPAN(東京都中央区、村山哲生代表取締役)は、同工法の普及・提供などを目的とした専門協会「日本アスベスト処理技術機構」を設立した。安全で効率的にアスベストを除去できる工法を正しく広めることで、アスベスト被害のない社会づくりに貢献することを目指す。

     

    ◆VAWM工法の普及促進を目指す/適正処理へ組織体制構築

     

     VAWM工法は、トッププランニングJAPANとジェイアール西日本ビルト、パナソニック環境エンジニアリングの3社で共同開発し、特許を取得している技術だ。超高圧の水圧を専用器具の「アクアセルローター」から噴射して躯体表面の塗膜や下地材を削り取り、同時に強力なバキュームで排水を回収する。

     

     回収した排水は濁水処理プラントに運搬し、ベッセルタンクで一時貯水した後にノッチタンクへ送り、凝集剤で沈殿させた上水をさらに排水ろ過システムに送る。処理水はPH調整後に下水道へ放流するほか、除去作業に再利用することもできる。固液分離した固形物は廃石綿特管物として処理する。

     

     村山代表取締役は、「国に認定されているアスベスト処理の工法はほかにもあるが、価格や工期、安全性などを考えると他の工法はあまり実用的ではない。また、われわれの技術は表面の塗膜だけでなく、下地の調整材まで削り取ることができる」と自信を示す。

     

     そうした技術を有する同社が、新たに協会を設立した目的は、VAWM工法を全国の施工業者に普及させることで、アスベストの飛散・拡散防止と水道排水基準に批准するよう啓もうするとともに、適正価格の保持や特許権利を保全することにある。

     

     村山代表取締役は、「VAWM工法は発想としては難しいものではないので、特許に抵触する類似工法で施工する模倣業者も増えてきている。そうした模倣業者には安全・適正にアスベスト処理をできていない業者もいる。われわれとしては、自社でこの工法による施工を独占しようとは考えていないので、工法の普及に向けて特許技術の貸与などを適正に処理できる組織体制を構築し、社会に貢献していく」と協会設立の意図を語る。

     

     国土交通省が2019年にまとめた『民間建築物におけるアスベスト対策の経緯とこれまでの取組み』によると、アスベストが使用された可能性のある民間建築物は推計で国内に約280万棟あるという。いかにVAWM工法が他工法より工期やコストの面で利点があったとしても、この280万棟全てを同社が処理することは不可能だ。

     

     VAWM工法は、高圧洗浄水をろ過して再利用し、最終的には処分場に搬出するため現場に排水はしないが、模倣工法は下水道規準を満たさない水をそのまま排水する現場が散見され、さらにアスベストを含む洗浄水を現場に流したりするケースも存在しているという。現状、アスベスト除去現場で下水道法に抵触する排水をしても監査する国の仕組みは存在しないが、将来的には発注者がリスクを負う可能性もある。

     

     そこで、正しい施工法を普及させることで、アスベスト被害をなくし社会に貢献するため、協会の設立に至った。村山代表取締役は「適正な水処理こそが本技術の肝だ」と適正な工法の普及の重要性を強調し、「アスベストは使用された当時は国からも認可されており、使ってしまったこと自体は仕方がないことだが、勇気を持って過ちであったことを認めて解決していかなければならない問題だ。そのために、社会に役立つ技術を安全な形で広めていきたい」と今後の活動に意欲を示す。

     

     同協会は、10月の稼働開始を予定しており、現在は知的財産権の取り扱いや工法貸しスキーム・教育制度の構築、工法のブラッシュアップなどの準備を進めている。

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    掲載日: 2020年7月31日 | presented by 建設通信新聞

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