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  • 建設論評・社員を育成するということ

     会社に入った社員を育成するというのは、どこの会社でも力を入れていることである。社員を育成するために時間も金も使っている。外部の研修専門機関を使うこともある。社内の人事部でも力を入れているし、優秀な部員をこれに充てているようである。

     

     この社員育成のためにどうしているかというと、一般的には次のような手順を踏むことが多い。

     

     (1)どういう人材に育てようかという目標を立てる(2)そのためにどういうカリキュラム、プロセスを要するかを決める(3)適当な先生を決めて実施する(4)その結果を検証し、育成の過程を修正する。

     

     簡単に言うと、このような方法がPDCA(計画・実行・評価・改善)のサイクルを踏んでおり、オーソドックスである。

     

     さて、第1の「どういう人材に育てようか」の中身は何であるか。例えば多くは次のようだ。

     

     ▽会社の目的のために役に立つ人材▽周囲との協力関係を築くことができる▽与えられた任務は何としてもやり通す▽進んで必要な資格を取得するなど能力向上の努力をする▽いままでにない創意工夫をする▽売り上げに貢献する▽経費の節減に努める▽部下、後輩の成長に努める--など。

     

     これを見ると、なかなかよくできていると思うかもしれない。あるいは、まあまあ常識的であろう。

     

     ところが、よく見ると大きな落ちが2つある。

     

     1つは社会人としての教育、もう1つは人間形成である。前者は企業の社会的責任論から気が付いている会社もあるだろう。後者の人間形成はどうだろうか。そこまでは企業の責任ではないとするのが一般的ではないだろうか。人間形成などという、つかみにくく方法も判然としないことに企業は取り組まない。あるいは、そんなことは学校か家庭でやってくれということかもしれない。

     

     だがよく考えてほしい。学校で、あるいは家庭でこれができるだろうか。いまの社会を見渡すと、最もふさわしいのは企業をおいてほかにないと考える。企業にしかできないのではなく、最もふさわしい、である。なぜなら、社会の恩恵の中で企業生活こそが最も緊張した環境にあり、社会に対して恩返しをするべき立場だからである。自分たちの利益のみを早急に求めていれば、やがてその報いは企業自身に返ってくる。

     

     知識、技術を身に着けさせることは教室でもできる。しかし教室にあってできなくとも仕事の中でこそ教えられることは実に多い。人間形成はその最たるものだと思う。まともな社会、一国を成すために企業のできることは大きい。名誉なことではないだろうか。ぜひ社員の育成目標にこの一項目を入れたい。

     (三)

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    掲載日: 2020年8月6日 | presented by 建設通信新聞

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