建設技術者向けNEWS
建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!
-
人事戦略2018/設計事務所
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【産業間競争激化「内定辞退」に苦労/技術者不足も「現状維持」】
日刊建設通信新聞社が実施した調査に回答した建築設計事務所21社のうち、4月の新卒採用では11社が2017年4月採用実績を上回る。予定どおりに人員を確保できた事務所が14社だった一方で、予定枠の確保に「苦労した」事務所は4事務所あり、最終的に予定枠を「確保できなかった」事務所も2社あった。
おしなべて売り手市場の状況下で「辞退者が想定以上に多かった」(日総建)、「最終的には予定通りとなったが、内定辞退もあり予定枠の確保には若干の苦労があった」(大建設計)などと、採用活動は厳しさが増している。「ゼネコンなど採用数を増やしている企業が多かったと思われ、他社との競合があった」(NTTファシリティーズ)、「ゼネコンの早期採用決定など業界内での採用活動開始時期の認識差が大きい」(松田平田設計)というように建設産業界での競争激化を指摘する声も上がる。
国内建設市場が堅調に推移する中で、技術者不足を実感する事務所は18社に及び、そのほとんどが今後もこうした状況が続くとみている。その対応では、「業務効率による生産性向上、採用手法の見直し、女性活躍推進」(久米設計)のほか、「人材紹介会社を積極的に活用している」(大建設計)、「優秀な人材のキャリア採用を積極的に行っている」(日本設計)など、即戦力の積極活用も目立つ。
20年以降を見据えた中長期の新卒採用では、「継続的な組織運営に際し、必要となる人員を確保する」(久米設計)といった声に代表されるように、ほぼすべての事務所が「現状維持」を掲げる一方、日総建は「社員の高齢化が進んでおり、新卒採用は不可欠」として、採用者数を増やす考えを示した。
処遇面の改善については半数の11社が賃金の引き上げなどを検討。この中でIAO竹田設計は「約1万円アップ」を検討しているほか、あい設計は18年度から「初任給の引き上げ(大卒で約6000円アップ)」を決めた。梓設計は「業績に応じて賞与に反映させる」とし、大建設計も基本給は変えないものの「能力給による昇給、賞与を可能な限り引き上げる」としている。
経営トップ主導による「働き方改革」も一段と進む。NTTファシリティーズは副社長直轄のワーキンググループを設置し、各職場の業務プロセス改善、過剰な業務の削減指示、深夜労働の許可制度導入などを実施した結果、午後10時を超える深夜労働が対前年で1割以下まで大きく低減したという。経営と現場などが双方向でコミュニケーションを取り合うことで無駄な時間外労働を減らし、より自由な時間を確保して創造的な業務に充てようと取り組む事務所も多い。
生産年齢人口が相対的に減少していく中で、育児・介護者に対するテレワーク制度や高年齢継続雇用者の処遇アップ、育児のための短時間勤務の再取得や育児休職の再取得などの柔軟化、さらに育休などからの職場復帰支援や女性部下を持つ管理職向けマネジメントセミナーなど、多様な人材の活躍を支える取り組みも加速している。(布田勉)
残り50%掲載日: 2018年2月6日 | presented by 建設通信新聞