建設技術者向けNEWS
建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!
-
相手国に寄り添い提案を/土木学会全国大会in中部オンライン開幕/海外インフラ展開で議論
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>土木学会(家田仁会長)の「2020年度土木学会全国大会in中部オンライン」が7日に開幕した。初日の締めくくりとして「今後の海外インフラ展開に向けた変革のあり方検討会」が開かれ、産学官の有識者によるパネルディスカッションを実施した=写真。国内建設産業のインフラ輸出は着実に実績を重ねているが、「場所が海外だけであって、国内事業の延長線上にあるODA(政府開発援助)」が大半を占めるため、海外インフラ展開をより加速させる上で「相手国のニーズに寄り添いながら、ODA以外の海外事業に進出することが不可欠」との認識を共有した。
パネルディスカッションに先だって、オブザーバーの家田会長は国内建設事業が依然として堅調に推移しているものの、「埋没の中の低迷を安住と取り違えてはいけない」とし、「海外インフラ展開の拡大を通じ、(持続的発展に向け)建設産業全体を前に進めなければならない」とあいさつした。
続いて、コーディネーターを務める森昌文NEXCO東日本代表取締役兼専務執行役員社長補佐建設事業本部長も「社会インフラが破たんし、国力を損なうことがないように、建設産業は元気でなければならない」との考えを示し、事業領域拡大につながるインフラ輸出の必要性を強調した。
パネリストは、石原康弘国土交通省海外プロジェクト審議官、北直紀清水建設常務執行役員、作中秀行日本工営参与エネルギー統轄事業本部技師長、安間匡明大和証券顧問、福田敦日大理工学部交通システム工学科教授の5氏で、行政、ゼネコン、コンサルタント、金融、研究機関の視点から海外インフラ展開に対する考え方などを論じた。
政府はインフラシステム輸出戦略の中で、20年度の輸出目標値として30兆円を設定。そのうち建設業は2兆円となっている。海外建設協会、国際建設技術協会の受注実績から既に建設業の目標値を達成しているとみられるが、工事、業務とも「ODAへの依存度が高く、頭打ちの状態」のため、そこからの脱却が海外インフラ展開の推進につながることを確認した。
ただ、民間資金を財源とする海外PPPではリスクヘッジの対応が異なり、O&M(運用・保守管理)の経験も少ない建設産業の参画は難しいものの、安間氏は「外部の専門家を採用し、社内風土を醸成することも1つの手立てだ。若手社員が海外PPPに対する理解を深めていけば、結果として人材育成にもつながる」と強調。建設企業が建設と運営を一体化した投資事業戦略を実践することで、「会社の半分は運営・投資会社となり、建設請負よりも高収益を上げられる」と指摘した。
また、複数のパネリストが「質の高いインフラという日本の強みを生かすだけでなく、相手国のニーズに寄り添った提案を(海外インフラ展開の)起点とすべき。特にPPPは事業期間が20-30年に上るので、相手国と関係性を築くきっかけになり得る」と口々に訴えた。
同検討会では、海外インフラ展開の推進に向けた課題や具体的方策などを1年かけて検討し、提言をまとめる。
残り50%掲載日: 2020年9月9日 | presented by 建設通信新聞