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コンクリート打ち継ぎ処理で新技術
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【清水建設ら/散布までの待機時間削減】
清水建設は、土木工事でのコンクリートの打ち継ぎ処理の効率化を目的に、経験が浅い作業員でも簡単にムラなく散布できる新たな打ち継ぎ処理剤「シーカ ルガゾール-919」を開発した。コンクリートの打設直後に散布しても成分が希釈・流出しない点が特徴。散布までの待機時間を削減できることから、現場でのコスト削減や生産性の向上に役立つ。
建設用・工業用の化学製品の製造・販売などを手掛けるスイスの大手メーカー・シーカの日本法人である日本シーカとの共同開発となる。
清水建設は土木工事のコンクリートの品質に関するあらゆるリスクを抽出することで、具体的な対策の立案から打設管理に至るまで、一連の施工管理を支援するコンクリート品質総合管理システム「Concrete Station」における打ち継ぎ処理のソリューション技術として現場に展開していく。
日本シーカは9月中旬から1缶(18kg)を2万3000円で外販する。
「シーカ ルガゾール-919」は含有成分であるアルカリ増粘剤の作用によって、コンクリートに触れると粘性を増す。特定の噴霧器を使用すると泡立つことから、打設直後の散布であっても成分が希釈・流出せずにコンクリート表面を覆う。
傾斜部にも問題なく散布できる一方、泡が散布した部位を視認しやすくするため、経験が浅い作業員でもムラなく散布できる。散布までの待機時間を削減できるため、待機時間を2時間と想定した場合、従来の処理剤との比較で約30%(材料費・工事費込み)のコスト削減が可能だという。
コンクリートを打設すると、表層に余剰水と一緒に不純物が浮上してレイタンスと呼ばれる1-2mm程度の薄い脆弱層が形成される。その除去作業(打ち継ぎ処理)は品質管理にとって欠かせない。
通常、レイタンスの硬化を防ぐ処理剤を散布して、翌日に高圧水を用いて除去しているが、例えば、打設直後は余剰水が処理剤の有効成分を希釈・流出させるため、余剰水の収束(2-3時間)を待って散布せざるを得ない、あるいは勾配部に散布すると流れ落ちてしまう、処理剤の散布状況を視認しづらいといった複数の課題が存在していた。
【鹿島/写真から良否を見える化】
鹿島は、タブレット端末で撮影した写真でコンクリート打ち継ぎ面の処理状態の良否を判定できるシステムを開発した。成瀬ダム堤体打設工事(秋田県東成瀬村、発注者=国土交通省東北地方整備局、施工=鹿島・前田・竹中土木JV)と、京都線・千里線淡路駅周辺連続立体交差工事(大阪市東淀川区、発注者=阪急電鉄、施工者=鹿島・戸田JV)で適用し、新旧コンクリートの一体性を確保・向上できることを確認した。
コンクリートを打設すると、表面に余剰水と一緒に不純物が浮上してレイタンスという薄い物質が形成される。コンクリート構造物を打ち継ぐ際は、このレイタンスや緩んだ骨材をハイウォッシャーなどで除去する目粗しが必要になる。打ち継ぎ面が適切に処理されなければ、コンクリート構造物の一体性が損なわれ、漏水や構造的な欠陥につながる。鉄筋のかぶり部では、水や塩分などが浸透しやすくなり、鉄筋を腐食させて構造物の早期劣化を引き起こす。打ち継ぎ面の処理状態が構造物の機能・性能に大きな影響を与えるにもかかわらず、処理状態の良否を定量的に判定する基準がなく、処理が不十分だったり、過剰に処理しているケースもある。
打ち継ぎ面の処理が不十分な場合は、コンクリート表面の凹凸が少なく輝度が小さいため輝度分布が一点に集中する一方、打ち継ぎ面処理が良好な場合は幅広い輝度分布を示す。新システムは、撮影した画像からこの特長を判定する。タブレット端末で撮影した画像の評価対象範囲を指定すると、任意で設定したメッシュごとに処理の良否を「青」「黄」「赤」で段階的に表示する。判定結果は、評価対象範囲を選択後、5-10秒程度で表示する。
打ち継ぎ面の処理状態が見える化されることで、社員や作業員の熟練度によらず、一定の基準で良否を判定できる。
今後は、データを集積して機械学習で判定精度を向上するほか、ドローンに搭載して広い範囲を簡易判定できるようにするなどの機能向上も進める。発注者との確認やプロセス検査における“遠隔臨場”での活用なども検討する。
残り50%掲載日: 2020年9月9日 | presented by 建設通信新聞