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応用地質/高精度にトンネル点検/AIで近接目視を効率化
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>応用地質は、トンネルの点検業務をAI(人工知能)により効率化・高精度化する「トンネルAIシステム」を開発した。トンネルの近接目視時に並行して3Dレーザー計測を実施し、得られた点群データを基に自動的に展開画像の作成と変状個所を抽出する。AIには、同社が長年にわたって蓄積してきたトンネル点検に関する技術やノウハウを反映。従来は人の手により行われていたスケッチからCAD上での図化作業までを大幅に効率化するとともに、技能の差による品質のばらつきを解消し、点検作業の高精度化を実現する。
従来のトンネル点検では、高所作業車を用いて覆工コンクリートの異常を近接目視や打音検査によって確認し、異常個所をマーキングした上、手書きのスケッチによって記録するやり方が一般的に行われている。こうした作業はトンネル全線にわたって行われるため、人海戦術かつ多大な時間を要するほか、作業員の技能の差や見落とし、記載漏れなど人的ミスが生じやすく、効率化や生産性の向上が課題となっていた。
近年ではスケッチ作業をデジタルカメラの画像により効率化する手法も開発されているが、ひび割れの抽出漏れや誤検出など、必ずしも十分な精度が確保されない現状もあった。
今回開発したシステムは、医療用MRIにも使われている画像解析技術「超解像圧縮センシング技術」を応用することでスキャナー画像の端部に発生する陰影を補正。鮮明な画像を取得することで3Dレーザースキャナーによる画像解析で見落とされがちな画像の欠損部も見落とすことなく解析することが可能となったとしている。
国土交通省によると、道路トンネルは全国に約1万1000カ所あり、2033年にはその42%が建設後50年以上を経過するとされている。道路トンネルは、道路法に基づく国土交通省令により、国や地方公共団体など道路管理者が5年に1回の近接目視による点検を義務付けられており、市町村など自治体では、少子高齢化などに伴うメンテナンス事業の担い手不足により、点検にかかる負担は年々高まっている。
同社はこうした状況を踏まえ、打音調査での打撃応答波の違いをAIで機械学習しトンネル覆工コンクリートの健全度を自動判定するシステムを19年7月に開発し運用している。今回さらにトンネル近接目視のさらなる効率化と精度向上を可能とする新たなAIシステムの開発に成功したことでトンネル近接目視にかかる一連の作業の効率化と生産性向上に寄与する。さらにこれらの技術を自社の点検サービスに活用するだけでなく、将来的には広く他企業にも提供し、地域のインフラメンテナンスの担い手企業の育成にも貢献していく考えだ。
残り50%掲載日: 2020年9月11日 | presented by 建設通信新聞