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自治体との協働探る/土木学会全国大会in中部オンライン インフラメンテ総合委
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【新技術開発・活用も議論】
土木学会(家田仁会長)の「2020年度土木学会全国大会in中部オンライン」が11日に大会最終日を迎え、その締めくくりとして「インフラメンテナンス総合委員会」が2部構成で開かれた。社会インフラの健全性を維持する上での自治体や市民、土木学会の役割を確認するとともに、新技術の活用方策などを議論した。 第1部の冒頭、家田会長と中村光氏(名古屋大)、岩波光保氏(東工大)、岩城一郎氏(日大)が同委員会の目的や内部に設置するアクティビティ部会の活動計画、これまでの学会活動などを解説した。
続いて、久田真氏(東北大)のコーディネートの下、インフラメンテナンスの推進に向けた自治体と市民、土木学会の協働のあり方について意見を交わした。
パネリストのうち、末松則子三重県鈴鹿市長と写真家の山崎エリナ氏が話題提供し、末松市長は同市が実施する社会インフラの市民参加型イベントを紹介した。
山崎氏は工事現場の写真撮影を通じ、「現場で働く人たちの底力と使命感に改めて気付かされた」ことを強調した。一方で、「市民には建設業の役割が正しく認識されていない」とも指摘し、「写真展や写真集などで現場を見てもらう機会を創出し、業界のイメージアップと市民の共感・理解につなげたい」との考えを示した。また、開催済みの写真展では「来場者が『(建設業に従事する)皆さんの誇りを感じた』と涙を流していた」ことも伝えた。
コレを受けたパネルディスカッションでは、他のパネリストである野澤伸一郎(JR東日本)、田崎忠行(日本建設機械施工協会)の両氏から「市民が(インフラに対して)親しみを感じるきっかけになる」とたたえる声が上がった。
家田会長も「業界への理解を深める」と謝意を表した上で、「国鉄在籍時に保守業務に従事していたが、日々の努力や工夫が成果として表れるので(当時は)面白くて仕方なかった」という自身の経験を踏まえ、「メンテナンスの面白さや楽しさを表現することも必要ではないか」と提起した。
福田敬大氏(国土技術政策総合研究所)は「新設と比べ、メンテナンスには地元に精通した特殊なノウハウ、技術が求められる」とし、「発注者も環境整備に努めるので、地域の建設企業はメンテナンスのマーケットに積極的に参画してほしい」と呼び掛けた。
山崎氏と親交がある小野組(新潟県胎内市)の小野貴史社長は、「維持管理は(インフラを)供用しながらの業務となるので、不測の事態が起こりやすい。だからこそ、現場運営や関係者協議などを熟知したエース級(の技術者)を投入する必要性がある」との認識を示した。
総括では伊勢勝巳氏(JR東日本)が「メンテナンスの社会的効果を外部に示していくことが重要」と述べた。
第2部はインフラメンテナンスにかかる新技術の開発と活用拡大を話し合った。
第1部から引き続き参加した田崎氏が「メンテナンス分野の新技術適用推進に関する提言」と題し、基調講演した。
土木分野では、技術のガラパゴス化の回避や仕様規定の限界などが課題となっていることから、性能発注による発注仕様の制度構築とともに、「土木と異分野が融合した多様な技術を創出することが求められる」との考えを示した。
この後、産学官の担当者が維持管理分野の新技術、現場実装の現状などを報告し、参加者が、持続可能なインフラを支える新技術の活用拡大に向けた今後の対応を議論した。
残り50%掲載日: 2020年9月15日 | presented by 建設通信新聞