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  • 正義感で除雪従事/団体委託求める声/「不足」5年後に5割超/災害対応の人員体制を調査/除雪、深刻な状況懸念/全建

     地域建設業の有事対応の弱体化が現実味を帯びている--。全国建設業協会(奥村太加典会長)が傘下団体の会員企業を対象に実施した調査結果によると、自然災害発生時の応急復旧に関し、「人員が不足している」割合は現段階で全体の2割に達し、今後5年で5割超まで拡大する見通しだ。また、災害対応と並び、最優先の使命に位置付けられる除雪業務はより厳しい状況に陥ることが想定され、地域の守り手としての体制維持は切迫感が強まっている。

     

     全建は、各都道府県協会が選定した会員企業(1097社)に対し、有事の体制をアンケートした(調査期間7-8月)。発災時の緊急対応に伴う人員は「十分確保している」が7.8%、「必要最低限は確保している」が71.2%で、「不足している」が21.0%を占める。

     

     このうち、「十分確保している」「必要最低限は確保している」との回答者に限って、5年後の見通しを聞き取ったところ、「十分確保している」が4.8%、「必要最低限は確保している」が57.1%、「不足している」が38.1%に変化。人手不足がより顕著になるとの見方が強い。

     

     現段階と5年後で調査対象数(母数)が異なるので、「不足している」割合を単純に合算できないが、全建の担当者は「それでも5年後には全体の5割程度が『不足している』ことが見込まれる」と分析する。

     

     また、除雪体制については、無回答だった25社を除き、1074社から回答を得た。

     

     除雪作業に伴う人員は現時点で「十分確保している」が7.4%、「必要最低限は確保している」が71.8%、「不足している」が20.8%で、発災時の緊急対応と同様の傾向だが、5年後は「十分確保している」が3.4%、「必要最低限は確保している」が54.1%、「不足している」が42.5%を想定。発災時の緊急対応よりも深刻な状況が懸念される。

     

     過去5年で除雪業務の受注実績が「あり」は47.1%、「なし」が52.9%だった。採算性は平年並みの降雪量で「黒字」(42.7%)と「利益なし」(44.3%)で拮抗し、「赤字」は11.0%にとどまる。大雪時は「黒字」が55.8%まで上昇し、「利益なし」(29.5%)と「赤字」(9.4%)が低下する。一方、少雪時は「利益なし」(45.1%)と「赤字」(38.8%)が大半を占め、「黒字」は14.8%となる。

     

     回答者からの意見では、発災時の緊急対応に関し「業界全体として、対応時の経験不足による2次災害の発生を危惧(きぐ)している」「長時間拘束勤務となった場合に交代要員が不足するなどの問題を抱えている」「5年後は現在の3分の1が70歳を超えるため、退職している可能性が高い。機材を操作する労務者不足が懸念される」との課題を挙げる。

     

     除雪業務では、「そもそも見合った金額がもらえないため、ボランティアと認識している。自分たちがやらなければならないとの正義感のようなものだけで対応しているが、新たに入職してくる若年層に同じスタンスを求めるのは難しい」「従業員の高齢化などの影響で人員に限界があり、委託先を建設業協会などの団体に委託してもらえると分散化できると思う」「降雪量によって採算が大きく変動する。そのため、(計画的な)人員の確保が難しく、除雪機械、除雪機械の更新など設備投資もできない。降雪量にかかわらず、最低限除雪業務に従事できる売り上げ(基本待機料、固定費など)を計上してほしい」と訴える。

     

     また、「除雪作業の中で新型コロナウイルス感染症の感染防止対策に頭を悩ませている」といった新たな問題点を指摘する声も上がっている。

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    掲載日: 2020年10月6日 | presented by 建設通信新聞

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