当サイトについて 採用ご担当者様
会員登録はこちら 求人検索

建設技術者向けNEWS

建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!

  • 変革の時機・制度改正を読み解く〈改正建設業法編〉4

    【工期ダンピングと決別/業界に基準準拠の責務/専門工事業へのしわ寄せ自戒】

     

     建設業法の改正と、適正工期のあり方を具現化する「工期に関する基準」は建設業にとって、担い手の確保・育成を実現する上で不可欠な働き方改革の推進とともに、禍根として業界にくすぶる工期ダンピングとの決別を、法制面から下支えすることを意味する。

     

     日本建設業連合会の山内隆司会長は、業法改正と工期基準が現場の週休2日、長時間労働是正の側面で「極めて大きな意義がある。大変画期的なこと」との認識を示す。ただ、法令や制度が整備されただけでは適正な工期設定への実効性が担保されたとは言えないため、「建設業界として、基準に準拠していく責務があるものと受け止めている」とし、「業界全体に幅広く適正な工期が定着するように発注者から理解が得られる努力を続ける」と加える。

     

     日建連は、適正工期で工事契約を締結するために順守すべき事項を会長名で会員企業に通知した。順守事項では週休2日(4週8閉所)をベースとした工期設定に努めることや発注者への工期見積り(施工計画)の提出、必要に応じた契約変更のほか、発注者の理解促進の観点から、「著しく短い工期による請負契約を締結したと判断される場合には、官庁・民間を問わず国土交通省などから発注者に対する勧告がなされることを説明する」よう要請した。

     

     全国建設業協会の奥村太加典会長も「この基準が自治体や民間を含む官民の現場で適正に運用されるためには、基準策定に至った経緯や意義などを受発注者間で共有する必要がある」と力を込める。

     

     適正工期の定着に向け、元請団体が主体性を持って受発注者間の認識の共通化や協働姿勢の構築に取り組む背景には、バブル崩壊後の公共工事の激減とデフレの長期化に直面した建設業界が熾烈(しれつ)な受注競争を勝ち抜くため、「価格」だけでなく「工期」も競争の構成要素に取り入れ、元請企業だけでなく、専門工事業をも巻き込み、産業全体を疲弊させたトラウマがあるからだ。

     

     山内会長や奥村会長を始め、複数の団体の幹部が異口同音に「専門工事会社に短い工期によるしわ寄せが及ぶことを繰り返してはならない」と強調することからも分かるように、多発・激甚化する自然災害を受けて建設業の重要性が社会的に再認識されつつある中で、同じ轍(てつ)を踏み、受注者自らが「業界の後退を招くような行動をとってはならない」という自戒が込められている。

     

     ある専門工事業団体の幹部は「下請け、特に後工程(の専門工事会社)にしわ寄せが生じていることを確認した上で策定した工期基準なので、中央建設業審議会のワーキンググループに参加した官民の発注者、元請け、下請け、コンサルなどがしっかりと順守し、適切な工期を設定するという意識とその実行が何よりも大切」と力を込める。

    残り50%
    ログインして続きを読む 会員でない方はこちらよりご登録ください

    掲載日: 2020年10月6日 | presented by 建設通信新聞

前の記事記事一覧次の記事