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建設論評・高齢者の活用を
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>建設業では人手が不足し、そのため事業を手じまいする向きがあるという。まことにもったいないことである。仕事がないというのであればともかく、せっかくの仕事があるのに人手がないために受けられないのは残念至極であろう。
大体、建設業には高齢者が多い。全産業の就業者では55歳以上の割合は29.3%であり、これでも相当高いというべきだが、建設業では就業者の33.9%が55歳以上である。当然その分若年層が少ないわけで、全産業の就労者では29歳以下の割合が16.4%に対して、建設業では就業者の11.4%が29歳以下である(総務省「労働力調査」)。
従って、従来の対策は主として若い人を建設業に入れるにはどうしたらよいかという点に焦点があった。若い人にとって魅力ある建設業とはどんなものかとか、若い人にアプローチするにはどんなルートが有効かなど業界を挙げて研究し、実践もしてきた。
一部の有力な大手建設業には、学校から新卒を採用するのにそれこそあの手この手、人数の制限もしないほどに多数を採用しているところがあると新卒のマーケットで苦戦している企業はやっかみ半分だ。しかし、ゼネコン、工務店、専門業者、下請けの職人を有する協力会社のすべての段階で若い人は相変わらず少ない。
そこで、若い人に対するアプローチは一生懸命に続けるにしても、ここでいったん高齢者に目を向けることにしよう。
第一に高齢者というのはいくつからが高齢者なのか。高齢者の定義が昔から60歳以上の人を指していたわけではない。一般の定年が、かつては55歳、その前は50歳などと言われ、その年を超えるとにわかに高齢者扱いをしてきた。しかし、いまや寿命の延びに従って高齢者を何歳からというのが実態にそぐわず、一定の年齢を機械的に当てはめるのは難しい。いまの日本人の平均的寿命は80歳前後であり、やがては90歳にもなろうかという勢いだ。さらに、その先には100歳前後まで寿命が延びることが予測されているから、いまどきの「高齢者」を侮ってはいけない。ことしの年賀状欠礼のあいさつにも、「父(母)が何歳で逝去し…」のところが大変多いのが90歳代であった。
そこでまず考えるべきことは、いわゆる高齢者というのが本当に働くのに不向きな弱者なのかどうか。本当は、建設業に多い高齢者は貴重な人的資源なのではないか。この活用の方法が分かっていないのではないのか。もし、いわゆる高齢者の活用ができればその企業の将来はきっと明るいものになろう。
また、高齢者は若い人よりも力、能力が劣るのかどうか。若い人に負けない方々を見ていると、よく食べ、よく動き、よく人と会い、よく話をしているようである。若い人で早く家に帰り、一人で部屋にこもってゲームか何かに熱中している人が増えていると聞くが、それに比べればはるかに社会性豊かで常識に富んでいる。
こうしてよく見れば、「高齢者」を見る目を変え、積極的に戦力化した会社が勝ち残るであろう。早く気が付き、早く動いたところが力を増すのは間違いない。 (三)
残り50%掲載日: 2018年2月15日 | presented by 建設通信新聞