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ME・道守/応急復旧に寄与/“地域の守り手”役割も/沢田氏(岐阜大)が調査開始
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>社会インフラの維持管理を担う、「ME(メンテナンスエキスパート)」や「道守(みちもり)」の知識、技術力が自然災害の応急復旧にも生かされている。インフラメンテナンスの前提となる橋や堤防などの現状把握は、有事対応を実施する上での基礎情報に当たることから、発災時の復旧作業、工法立案などに寄与する。ME・道守は、その役割を通じて“地域の守り手”としての社会的使命を果たしていく。
MEの先進地の1つである岐阜県で、ME養成や国の民間技術者資格制度への登録に尽力してきた、岐阜大の沢田和秀工学部付属インフラマネジメント技術研究センター長は「MEの存在によって、(広域的な被害をもたらした)2018年7月の西日本豪雨や20年7月豪雨などの災害復旧が迅速化されたと感じている」との考えを示す。
その確証を得るために「調査を始めた」ところだが、インフラメンテナンスの町医者であるMEや道守による社会インフラの健康状態の確認(健全度の点検)は、当該地域にあるインフラ施設の精通度を高めるとともに、脆弱性の把握につながることから、有事対応に直結するとの見方は当然の流れと言える。
産学官の連携によってMEなどを養成する取り組みは岐阜県だけに限らず、長崎、愛媛、山口、新潟、京都、福島の府県など全国各地に広がりつつある。
インフラメンテナンスに対する関心度に比例し、有資格者も年々増加しており、地域の建設企業やコンサルタントの社員だけでなく、発注機関である国土交通省や県、市町村の職員も認定を受けている。
また、養成講座の受講を通じ、有資格者は受注者、発注者といった立場を超えた独自のネットワークを構築。受発注者間の良好な関係性がインフラメンテナンス効率化のほか、有事対応の迅速化を支えており、自然災害が頻発・激甚化する中で、ME・道守に対する期待は自ずと高まっていくとみられる。
◆維持管理推進に契約制度改善が不可欠
国家的課題である社会インフラの長寿命化、老朽化対策の推進に向け、インフラの維持管理に関する契約方式を見直す動きが活発化しつつある。岐阜県ではMEの活用を前提に、点検と診断、対策工法の提案、補修工事までを複数年で包括的に発注する。発注者の業務負担軽減と地元企業の受注量確保を両立しつつ、点検補修の効率化を実現している。
「地域建設産業の本来の役割は建てる、設けるといった限定的な意味合いではなく、『地域のインフラをマネジメントする』こと」(家田仁土木学会長)の確立には、受発注者双方がメリットを得られる契約方式の検討が求められる。
残り50%掲載日: 2020年11月19日 | presented by 建設通信新聞