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7月豪雨受けダム容認/九州管内の10大ニュース
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>ことしも九州を大災害が襲った。2020年7月豪雨は、熊本県南部、九州北部の広い範囲で記録的な豪雨となり、球磨川流域をはじめ、各地で甚大な被害が発生した。熊本県は復旧・復興プランで流域全体の総合力による「緑の流域治水」を提示。川辺川へのダム建設容認へと動いた。一方、九州各地では社会資本整備が着実に進み、熊本地震からの復興のほか、那覇空港第2滑走路、JR長崎本線の高架化などが完成した。九州のこの1年を「10大ニュース」として振り返る。
◆7月豪雨
熊本県南部では7月4日未明から朝にかけて、局地的に猛烈な雨が降り、球磨川が氾濫し人吉市や球磨村などで甚大な浸水被害が発生した。本川の中流部など各雨量観測所での降雨量は、戦後最大の洪水被害をもたらした昭和40年7月洪水、昭和57年7月洪水を上回る降雨を記録した。応急復旧では地元建設企業などが奮起した。
◆流水型ダム建設要望
「民意は命と環境の両立」として、熊本県の蒲島郁夫知事は、環境に配慮した新たな流水型のダム建設を国に要望した。球磨川流域治水プロジェクトの策定作業の中で、国は、「施設能力を最大限活用した洪水調節施設を検討する」として、現行計画と同規模の施設計画を提示している。
◆阿蘇大橋地区復興
一方、熊本では熊本地震からめざましい復興を遂げている。大規模斜面崩壊で通行不能となった阿蘇大橋地区の国道57号現道と、代替道路となる北側復旧ルートが10月に同時開通した。斜面対策事業はネットワーク対応型の無人化施工技術を導入。北側復旧ルートのトンネル工事ではECI(施工予定技術者事前協議)方式を採用した。崩落した阿蘇大橋の架け替えは21年3月に完成する。
◆コロナ対応追われる
入札手続きや業務の遅延のほか、熊本市では本庁舎建て替え計画、大分県別府市では「東洋のブルーラグーン」事業などといった大型プロジェクトの検討が中断するなどコロナの影響が見られた。業界団体も活動の縮減を余儀なくされ、現場見学など広報活動は軒並み中止となった。一方、遠隔臨場やウェブ会議システムなどの働き方改革につながる業務効率化も進んだ。
◆福岡市街地再開発本格化
福岡市の高島宗一郎市長は、世界に先駆けて「感染症対応シティー」を8月に打ち出した。ビル建て替えで、感染症対策の取り組みを実施した場合に容積率を緩和する。これに対応する形で、西日本鉄道は福ビル建て替えの計画変更を発表した。このほか、福岡市街地では順調に再開発計画が進み、メディアモール天神(MMT)、西日本シティ銀行本店ビルなどが解体に着手した。
◆那覇空港第2滑走路完成
那覇空港第2滑走路は、長さ2700m、幅60mで、現空港沖合に整備。13年4月に新規事業化、3月に供用開始した。総事業費約2074億円。処理容量は年間13万5000回から24万回となる。
◆JR長崎線高架化
JR長崎本線の浦上駅~長崎駅の2.5㎞の高架化事業が3月に完成した。22年度の九州新幹線西九州ルートの暫定開業に向け、沿線ではJR九州による新駅ビルのほか、MICE施設、ジャパネットホールディングスのスタジアムなど大型開発が目白押しで、地元は「100年に1度の変革期」として経済成長に期待が高まっている。
◆2建協で新会長
宮崎県建設業協会では山崎司氏から藤元建二氏、沖縄県建設業協会は下地米蔵氏から津波達也氏に会長が交代した。山崎氏は3期6年、下地氏は4期8年にわたって職責を全うした。このほか、福岡県建設関連産業協議会の会長には松山孝義氏が就任。全国組織では日本道路建設業協会で森田宏司氏、プレストレスト・コンクリート建設業協会では梅林洋彦氏がそれぞれ九州支部長に就いた。
◆BIM協議会発足
福岡県内の建築関係8団体で構成する福岡建築倶楽部が11月に「建築倶楽部BIM推進協議会」を設置した。実務や講習などを通じて、中小経営規模の地場設計事務所でBIMを普及する。意匠系だけでなく構造や設備、積算関係の団体が参加していることが特徴で、建築設計の一連の流れでBIMの導入、連携が期待される。
◆統一現場閉所日を設定
九州地方整備局と沖縄総合事務局、九州・沖縄8県3政令市で構成する九州・沖縄ブロック土木部長等会議は、働き方改革推進に向けた2020年度共通目標として、各県での統一現場閉所日の設定を盛り込んだ。21年度の目標では、九州・沖縄ブロックでの統一日設定を検討項目にしており、働き方改革へのさらなる意識醸成を進める方針だ。
残り50%掲載日: 2020年12月28日 | presented by 建設通信新聞