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中部地方の2020年 主なできごと/将来見据えた事業が具体化
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>自然災害が頻発・激甚化する昨今、建設業に対し、社会資本整備の担い手、地域の守り手としての期待が高まり、その持続的な発展は国民生活にとって必要不可欠となっている。新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中にあっても、2026年の第20回アジア競技大会の開催や、リニア中央新幹線の開業による交流人口の増加に伴うまちづくりなど、将来を見据えた各種施策が具体化してきた。ことしの主な事業をハード・ソフト面からまとめた。
◆ウーブン・シティ/トヨタが構想発表
トヨタ自動車は1月6日、静岡県裾野市の東日本東富士工場の跡地約70万8000㎡に、実証都市を整備するプロジェクトの概要を発表した。街の名称は「Woven City(ウーブン・シティ)」。都市設計などはデンマークの建築家、ビャルケ・インゲルス氏が担当している。
ウーブン・シティでは企業や研究者らとともに、自動運転、MaaS(モビリティーのサービス化)、パーソナルモビリティー、ロボット、スマートホーム、AI(人工知能)などの新技術を導入・検証する。富士山の語呂合わせで21年2月23日に着工する予定。
◆ジブリパークが起工/3エリアを先行整備
愛知県は8月28日、長久手市の愛・地球博記念公園内に建設する「ジブリパーク」の起工式を現地で開いた。
ジブリパークは▽青春の丘▽ジブリの大倉庫▽どんどこ森▽もののけの里▽魔女の谷--の5エリアで構成する。今回起工したのは先行開業する青春の丘、ジブリの大倉庫、どんどこ森の3エリア。22年秋の開業を目指す。
整備事業にはECI(施工予定技術者事前協議)方式を採用。設計はスタジオジブリと日本設計、施工は鹿島が担当している。もののけの里、魔女の谷の2エリアは先行3エリアの開業から約1年後の供用開始を目指す。
◆久屋大通公園とTV塔リニューアル
名古屋市の久屋大通公園(北エリア・テレビ塔エリア)の再整備が完了し、9月18日に商業施設が開業した。Park-PFI(公募設置管理制度)を活用し、事業者の三井不動産グループが、飲食や物販店舗、広場、テラスなどの施設を整備した。
また同日、名古屋テレビ塔もリニューアルオープン。改修工事に免震レトロフィットを採用、これまでの電波鉄塔の姿のまま、物販・飲食・宿泊ができる建築物に機能を変更した。
現在は同公園南エリアの再整備を検討中。対象地はオアシス21南側(錦通)から若宮大通までの約4.7ha。地域版Park-PFIを取り入れ、交流空間などを整備する方針。
◆栄角地に36階建て約10万㎡大型複合
名古屋市ではリニア中央新幹線開業を見据え、民間による新たな拠点の整備が進んでいる。名古屋駅周辺地区の都市機能を補完する栄地区で再開発が本格的に動き出した。
同市は7月29日、錦三丁目25番街区市有地等活用事業の基本協定を大丸松坂屋百貨店と三菱地所グループ、土地売買契約を三菱地所グループと締結した。同グループは三菱地所を代表に、日本郵政不動産、明治安田生命保険、中日新聞社で構成する。
栄地区の目抜き通り、通称「栄角地」に地下4階地上36階建て延べ9万9500㎡の複合施設を建設する。22年に土地を引き渡す予定。26年の供用開始を目指す。
◆名高速ECI初採用/名駅へアクセス向上
名古屋高速道路公社は7月10日、同公社初となる技術提案交渉方式(ECI、設計交渉・施工タイプ)を適用する「市道高速1号他新洲崎工区改築事業」の公募型プロポーザルを公告した。
リニア中央新幹線開業を見据え、新洲崎JCTの出入り口ランプを4本追加するなど名古屋駅へのアクセス向上を図る。参考額は実施設計が15億円(税別)、工事が300億円(同)。基本設計業務などは大日本コンサルタント、中日本建設コンサルタント、中部復建、長大が担当。事業期間は実施設計が22年8月31日まで、工事が26年12月15日まで。場所は名古屋市中村区名駅南2~中区大須2。
◆整備局コロナ対策/指名入札を活用
中部地方整備局は新型コロナウイルス感染症対策の一環で、5月8日に「当面の工事及び業務における事務の執行」(中部版コロナスペシャル)を公表した。20年度上期の発注手続きを早期に執行するため、指名競争入札を時限的に活用。その結果、上期の入札執行率が金額ベースで約8割に達した。
これを受け、この制度を廃止。中部版コロナスペシャルで試行したリモートワークなどの施策を踏襲し、20年度「工事・業務の入札・契約ガイドライン」の運用を11月から始めた。競争参加資格申請書の押印省略、書類の簡素化、遠隔臨場の導入など、感染症拡大防止のための取り組みを継続している。
◆庄内川流域治水協/全国に先駆け設置
激甚化する水害に対応するため、国土交通省は7月6日、全国の1級水系を対象に河川・下水道管理者と沿川自治体が連携し、流域全体の水害軽減を図る「流域治水」に取り組むことを決定した。
これを受け、中部整備局庄内川河川事務所と岐阜県、愛知県、流域市町などは同日、全国に先駆け「庄内川流域治水協議会」を設置し、名古屋市内で初会合を開いた。
同協議会は、頻発する水害に備え、流域内の各自治体などが連携して取り組むハード・ソフト一体の対策などを「庄内川流域治水プロジェクト」にまとめる。21年3月末までにプロジェクトを策定、公表する予定だ。
◆7月豪雨で岐阜県の41号500m崩落
20年7月豪雨により、国道41号岐阜県下呂市小坂町門坂地区では、7月8日に飛騨川沿いの道路が約500mにわたり崩落した。現場では被災直後から洗掘拡大防止工事に着手するなど、地域の建設業者が24時間態勢で復旧にあたった。
同24日には赤羽一嘉国土交通相が被災現場を視察。官民一体で作業を進め、早期に通行止め区間を開通させる考えを示した。
当初、8月31日の仮復旧を見込んでいたが、地元建設企業の尽力などにより工期を大幅に短縮。同17日に約600mの通行止めを解除した。
◆市民一律5万円給付/基金使えず公約断念
10月18日、愛知県岡崎市の市長選で新型コロナウイルス感染症対策として市民に一律5万円、総額約200億円の給付を公約に掲げた中根康浩氏が現職を破り初当選した。財源に財政調整基金などを充てる補正予算案を市議会に上程したが、必要に応じた目的別の積み立てだけに、取り崩しは市民サービスの低下を招くと議会が反発。給付財源の一部に見込んでいた計画中のコンベンション施設の建設中止も表明した。12月21日付で基本協定を締結する民間事業者に事業中止の協議を申し入れた。20年度内に協議結果をまとめる。中止により事業者に損害が生じる場合は市が負担する方針。一律5万円給付の実現が困難な状況にある中、市民がリコールを目指す団体を立ち上げた。
◆コロナで施設整備事業見直し相次ぐ
新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、自治体による庁舎などの施設建設を延期する動きが広がった。静岡市はBTO(建設・譲渡・運営)方式のPFIを採用する清水庁舎等整備事業、海洋文化施設整備事業を凍結した。21年度以降に再度、予算を編成する見通し。
また、富士市は「富士市総合体育館等整備・運営事業」のスケジュールを1年間延期し、事業内容を見直している。下田市は20年度中に着工予定だった新庁舎建設事業を延期し、21年度に再検討する。
残り50%掲載日: 2020年12月28日 | presented by 建設通信新聞