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  • 2020年重大ニュース・新型コロナが働き方改革を加速化

    【新型コロナ コロナ禍からポストコロナ社会へ】

     

    ■成長戦略/菅政権、50年までの脱炭素化を打ち出す

     

     政府は、菅政権として初となる成長戦略の実行計画をまとめた。グリーン成長による経済と環境の好循環を第1の柱に掲げ、温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルと脱炭素社会の実現を2050年までに目指す新たな目標を打ち出した。

     

     カーボンニュートラルの実現には、次世代太陽電池、カーボンリサイクル、水素など、脱炭素技術の開発と社会実装を進める革新的イノベーションがかぎを握る。

     

     20年度第3次補正予算案で企業の研究開発を10年間支援する2兆円の基金を設けるなど、イノベーションの加速化を図る。

     

     

    ■流域治水/ハード中心から転換加速化対策を推進

     

     2019年の東日本台風による大規模水害の発生を受け、国土交通省は流域のあらゆる関係者がハード・ソフト一体の対策に取り組む「流域治水」の考え方をまとめ、河川管理者のハード対策を中心とした治水から転換する姿勢を鮮明にした。

     

     第1段階として、1級水系ごとに設置した地元協議会で20年度末までに流域治水プロジェクトをまとめ、国、都道府県、市町村などが対策を実行する。

     

     流域治水は「防災・減災、国土強靱化のための 5か年加速化対策」でも主要施策に 位置付けられており、政府を挙げて取り組みを推進する。

     

     

    ■ゼネコン/新型コロナが直撃受注環境に厳しさ

     

     五輪特需を背景に近年、活況を呈してきた首都圏の建設需要の一服感に新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が直撃。民間投資の冷え込みはゼネコン各社にとって受注環境の“潮目の変化”をより際立たせる結果となっている。

     

     豊富な手持ち工事の消化によって、2021年3月期の業績への影響は限定的となっているが、先行指標となる受注高の減少は顕著。一定のボリュームを堅持している土木工事が下支えしているが、それでも全体として完全にカバーできるところまで至っていない。土木・建築の比率によってもその影響度合いの濃淡はさまざまといった状況だ。

     

     

    ■改正建設業法が施行/著しく短い工期の請負契約を禁止

     

     2019年に成立した改正建設業法が20年10月1日に施行となった。注文者(発注者・元請)に著しく短い工期による請負契約の締結を禁止する規定を新設した。違法な長時間労働などを前提とした工期短縮を求める注文者に対して、勧告・公表をできる制度を設けることで、建設業で働く人の長時間労働の是正を強力に進めていく姿勢を明確に打ち出した。

     

     実務経験と知識を持つ補佐者を専任で現場に配置することで、監理技術者の現場兼務を認める特例監理技術者制度も導入。建設業許可関係では、社会保険加入を許可・更新の要件化した。

     

     

    ■防災・減災、強靱化新計画/5年・15兆円を投入、対策加速化

     

     政府は、2021年度から25年度を計画期間とする「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を閣議決定した。事業規模は民間資金や財政投融資の活用を含め、約15兆円。インフラ老朽化対策や高規格道路のミッシングリンクの改善、流域治水の推進など3か年緊急対策にはなかった取り組みを盛り込んだ。

     

     具体的には、堤防強化やダム整備など災害対策に12兆3000億円程度、老朽化した道路や下水道などの補修に2兆7000億円程度をそれぞれ充てる。デジタル化の推進にも2000億円程度投じ、無人化施工技術の安全性・生産性向上などを進める。

     

     

    ■直轄一時中止/建設業向けに対策指針策定

     

     新型コロナウイルス感染症の全国的な流行を受け、国土交通省は対応に奔走した。直轄工事・業務で受注者の希望に基づいて一時中止や工期、履行期間の延長を実施。感染症の対策費用は設計変更の対象とし、遠隔臨場やテレビ会議のための機材・通信費などの支援を行った。

     

     5月には「建設業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を策定し、建設現場や現場事務所を含むオフィスでの講じるべき具体的な対策を整理し提示した。7月に熱中症予防の観点を加え改定。建設業に特化して事業者が参考にできる内容を盛り込み、対策を要請した。

     

     

    ■「工期に関する基準」作成/元下問わず共通指針 適正工期の浸透期待

     

     10月に施行された改正建設業法に伴って著しく短い工期による請負契約の禁止が規定されるとともに、それに合わせて「工期に関する基準」が作成された。

     

     工期に関する基準は官民、元下を問わず建設業に携わる上での共通指針となる。建設工事の請負契約で適正な工期が設定できるように「当事者が対等な立場でそれぞれの責務を果たす」ことや、「下請契約に係る工期の適正化、特に前工程の遅れによる後工程へのしわ寄せの防止に関する取り組みなどを行う」ことを明記している。

     

     短工期の禁止規定と工期基準によって「適正工期の確保」の位置付けが明確化している。

     

     

    ■広がるM&A/シナジー効果を発揮新規事業分野へ進出

     

     ことしもM&A(企業の合併・買収)が目立った。シナジー効果の発揮、未進出地域の市場開拓、新規事業分野への進出など理由はさまざまだ。中でも話題を呼んだのが、前田建設が前田総合インフラを公開買付者として実施した前田道路に対するTOB(株式公開買付)で、3月19日に前田道路を連結子会社化した。前田建設は1月20日に前田道路へのTOBを開始。これに対し前田道路はTOBに反対する意見を表明し、総額約535億円に上る特別配当の実施、NIPPOとの資本業務提携の協議開始などの対抗策を打ち出していた。

     

     

    【働き方改革  広がる残業時間上限規制への対応】

     

    ■設計

     

     新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、建築設計事務所の働き方はこの1年で大きく変容した。4月の政府による緊急事態宣言の発動で、半ば強制的にテレワークに舵を切った大手事務所では宣言解除後もテレワークを推奨して出社率を抑制するスタイルが主流になっている。

     

     時間外労働の罰則付き上限規制への対応では大手と小規模事務所の間で温度差が生じている。ある団体の幹部は「大手はかなり厳しくやっているが、アトリエ系は(労働時間の)区切りが甘い」と指摘する。在宅勤務の増加で仕事とプライベートの境目があいまいになる中、適正な労務管理が大きな課題になっている。

     

     

    ■建設関連業

     

     2019年4月から改正労働基準法が適用となった建設コンサルタントなど建設関連業では、長時間労働の是正を主眼に、多様で柔軟な働き方へ取り組みを進めてきたことが奏功し、コロナ禍で移動が厳しく制限される状況下にでも在宅勤務を中心したテレワーク勤務への転換にスムーズに対応。顧客との打ち合わせや協議などを含め、業務を継続する上でウェブ会議システムが定着し、デジタル化、リモート化が急速に進んだ。

     

     各社ともさらなる制度改善を含めテレワークと時差出勤・時短勤務、サテライトオフィスなどを組み合わせた「新たな働き方」構築が一段と進む。

     

     

    ■ゼネコン

     

     ゼネコンではコロナ禍の副次的効果として、社員へのデジタル機器への習熟が進んだ。その結果、現場技術者に配布したタブレット端末を活用する企業が増え、現場稼働後の事務所での事務作業が減り、生産性の向上が一歩進んだ。

     

     今後の課題は、時間外労働の大きな部分を占める土曜出勤の削減だ。現場閉所が基本となるが、2020年度の目標とされた4週7閉所を実現できる現場は半数から7割程度にとどまるとみられる。民間工事での適正工期の浸透には時間が掛かる見込みで、21年は技能者の働き方改革・処遇改善と組み合わせた現場の時間外労働削減の具体策を生み出す年になりそうだ。

     

     

    ■設備

     

     設備企業の工事部門では、残業時間の削減が思うように進んでいない。電気設備工事は、2019年度完成工事の現場での年間残業時間を1カ月当たりの平均でみると、45時間超が42%を占める。新築工事現場の65%で工程のしわ寄せが発生している。

     

     空調衛生工事は、19年度の工事部門年間残業時間が増加。全体のうち840時間超が約2割ある。厳格な労働時間管理によって隠れていた残業が明確になったともいえる。土曜閉所を含む適正な工期設定の現場の増加と、工程管理強化によって残業時間上限規制に対応する。

     

     

    ■専門工事業

     

     移動時間と労働時間が法令順守の観点で新たな課題となっている。

     

     都心部を中心に作業ヤードが狭い現場では資機材を常設できないため、当該現場とは別の置き場から資機材を毎朝持ち出して、終業後に片付ける。現場作業の前後に発生する移動時間が労働時間に扱われることで、労働基準法の時間外労働の上限規制に抵触する可能性がある。

     

     施工代価の標準時間(国が定める作業時間で1日当たり8時間)の見直しなどが具体策として挙がるが、週休2日の実現と同様に早急な対応が求められている。

     

     

    ■国交省、自治体工事のCCUS浸透着手

     

     建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及促進に向け、赤羽一嘉国土交通相は都道府県や市区町村が発注する工事への浸透が不可欠と判断し、「国交省として自治体への仕掛けを検討してアプローチする」ことを11月に表明した。

     

     累積赤字に端を発した財源問題の解消と運営体制の安定化も視野に入れるものの、CCUSの活用促進を通じて建設技能者の処遇改善、担い手の確保・育成を加速させたいとの思いがにじむ。

     

     

    ■直轄工事すべて週休2日対象に

     

     国土交通省は、2020年度から原則すべて直轄工事を週休2日対象とした。

     

     現場閉所が困難な維持工事には交代制を導入。週休2日を実施した場合の共通仮設費と現場管理費の補正係数についての引き上げも実施した。4週6休の場合は共通仮設費を1・02に、現場管理費を1・03に引き上げた。4週8休以上では現場管理費を1・06にした。

     

     21年度からは、週休2日対象工事で発注者指定型を拡大する方針で、罰則付き時間外労働規制が適用される24年度までに、週休2日が確保できる環境を整える。

     

     

    ■新社長

     

     2020年も多くの新社長が誕生した。

     

     1月には、ランクセスの張谷廷河氏、パナソニックとトヨタ自動車が設立した街づくり事業の合弁会社「プライムライフテクノロジーズ」の北野亮氏、加賀建設の鶴山雄一氏が就任した。2月は川崎地質の栃本泰浩氏、プランテックアソシエイツの小山直行氏が就いた。

     

     3月には、積水化学工業の加藤敬太氏、織本構造設計の中村幸悦氏、北海道日建設計の久保田克己氏が就任。

     

     新年度を迎えた4月には、TOTOの清田徳明氏、日本ファブテックの野上勇氏、三菱電機ビルテクノサービスの林美克氏、三菱マテリアルテクノの福島重光氏、京都建築事務所の細見建司氏、日立ビルシステムの光冨眞哉氏、日立プラントサービスの岡野邦彦氏、日立パワーソリューションズの安藤次男氏、日立GEニュークリア・エナジーの佐藤深一郎氏、日立造船の三野禎男氏、長谷工コーポレーションの池上一夫氏、長谷工インテックの大岡修平氏、細田工務店の平野富士雄氏、長谷工ビジネスプロクシーの永谷祥史氏、ピーエス三菱の森拓也氏、YKK不動産の小林聖子氏、ナカ工業の佐久間克行氏、小野工業所の小野雅亮氏、坂田建設の江崎哲氏、エルゴテックの山下博幸氏、高砂熱学工業の小島和人氏、宮地エンジニアリングの永山弘久氏、三機工業の石田博一氏、小泉産業の権藤浩二氏、大末建設の村尾和則氏、東急不動産ホールディングスの西川弘典氏、東急不動産の岡田正志氏、エフビーエスの上栗勝三氏、成豊建設の上山晃彦氏、住友林業の光吉敏郎氏、旭化成建材の山越保正氏、日鉄エンジニアリングの石倭行人氏、三菱地所レジデンスの宮島正治氏、月島機械の福沢義之氏、ベステラの吉野炳樹氏が就いた。

     

     5月には、博陽工業の川島豊氏、戸田道路の窪田浩一氏が就任した。

     

     6月には、クリマテックの前原邦彦氏、中央開発の田中誠氏、冨士工の日高利美氏、第一ヒューテックの島谷聡氏、IHIインフラ建設の森内昭氏、NTTファシリティーズの松原和彦氏、NTT都市開発の辻上広志氏、ミライト・テクノロジーズの遠竹泰氏、TTKの五十嵐克彦氏、四国通建の高木康弘氏、エム・エムブリッジの池浦正裕氏、NEXCO西日本の前川秀和氏、東芝エレベータの柳瀬悟郎氏、アズビルの山本清博氏、ミライト・ホールディングスの中山俊樹氏、大成建設の相川善郎氏、きんでんの上坂隆勇氏、日比谷総合設備の黒田長裕氏、九電工の佐藤尚文氏、コベルコ建機の尾上善則氏、横河ブリッジホールディングスの高田和彦氏、ライト工業の阿久津和浩氏、前田道路の今泉保彦氏、日本コンサルタンツの中井雅彦氏、関電工の仲摩俊男氏、阪神高速道路会社の吉田光市氏、小松マテーレの佐々木久衛氏、朝日機材の伊藤雅哉氏と多くのトップが生まれた。

     

     7月は、野原産業の高阪貴夫氏、復建調査設計の來山尚義氏、教育施設研究所の飯田順一氏が就いた。8月は、総合設備コンサルタントの砂川達也氏、三協立山の平能正三氏、三協立山・三協アルミ社の西孝博氏が就いた。

     

     9月は、畔蒜工務店の畔蒜義文氏、第一復建の藤山勤氏、河津造園の松居一由氏が就任した。

     

     10月は、日本設計の篠崎淳氏、ノーリツの腹巻知氏、宮本忠長建築設計事務所の宮本夏樹氏、金杉建設の吉川祐介氏、コスモスイニシアの高智亮大朗氏、松村組の村上修氏、竹中道路の西條俊一氏が就いた。11月は、技研製作所の森部慎之助氏が就任した。

     

     1年を締めくくる12月は、日本オーチス・エレベータのティボー・ルフェビュール(Thibault Lefebure)氏、マサルの勝又健氏、ETSホールティングスの加藤慎章氏が就いた。

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    掲載日: 2020年12月28日 | presented by 建設通信新聞

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