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建設論評・令和3年(辛丑)に期待を
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>2020年の干支は「辛丑(かのとうし)」。干支の2番目が「牛」になったのは、あらかじめ早めに出発したのにネズミに追い越されたからだそうだが、丑年の意味は、これから芽が出る前触れの年だという。これまでハイブリッド車『トヨタ・プリウス』やファミコンソフトの『スーパー・マリオブラザーズ』が発売された、新しい製品が生まれる年だ。
十干(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)の「辛」も、植物に例えると「草木が枯れ、新しくなろうとしている状態」を言うそうだ。
辛丑は「次代の新しいビジネスを生み出すための粘りが必要な年」と総括できるのではなかろうか。
今日、建設産業を取り巻く環境も明らかに変化しつつある。建設経済研究所の見通しによれば20年度の建設投資額は63兆円。21年度は58兆円と前年度を下回ると推定されている。住宅着工戸数もピーク時の09年度の1250万戸から、21年度は800万戸程度と推計される。
市場が高度成長期のように伸びない現状を踏まえ、一方で、大きな確固たる市場を抱えるいまだからこそ次代に向け新たなビジネスを創造する必要があるのではないか。そこで目をつけるべきことは、建設産業の裾野の広さと膨大な建設に関するデジタルデータだ。
DX(デジタルトランスフォーメーション)元年と呼ばれた昨年以降、政府のデジタル庁創設に向けた動きなど、世の中が一気にデジタル化へ突き進み始めた。スマートシティーやスーパーシティーといった先進都市モデルの創設に、政府も民間企業も積極的に取り組み始めた。高齢者の病院までの自動搬送、都市内の自動運転、SDGs(持続可能な開発目標)時代の環境対策などを実現するためには、地理データや都市データといった道路や建物、都市のインフラなどのデジタル情報が必須となる。
個々の建物や不動産でも、空調システムや非接触型オフィスの実現に向けて、ITやAI(人工知能)の活用が進む。多くのIoT(モノのインターネット)センサーで最適環境に自動管理するシステムも構築されつつある。建物や都市のデジタルデータを最も多く抱えているのが建設産業だ。
BIMやCIMも建設生産のためのデータであったが、むしろ都市インフラを維持するための貴重なデジタルデータになり得る。これまで建設後は修繕等でしか稼げなかったビジネスモデルから建設後も建設産業が持つ膨大なデジタルデータを活用した「サブスクリプション・モデル」へとビジネスモデルの転換が図られることに期待したい。
米株式市場では、熊の「ベア(弱気)」に対して、牛は「ブル(強気)」。牛の特徴は「粘り強さと誠実さ」だ。故事の『商いは牛の涎(よだれ)』とあるように、商売をするにはせっかちであってはならず、気長に辛抱強く続けるべきとも言われる。牛の強気、粘り強さと誠実さで、辛抱強くこの新型コロナの難局をみんなで乗り切り、建設産業の明るい未来をみんなでつくろうではないか。(隆)
残り50%掲載日: 2021年1月12日 | presented by 建設通信新聞