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  • “脱受注型”ビジネス創出/DXの進展が領域広げる

     建設コンサルタントにとって国内公共事業は売り上げの約8割を占める基幹分野だけに、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の決定に安堵(あんど)の色を浮かべる経営トップは多い。インフラ老朽化対策や高規格道路のミッシングリンクの改善、流域治水の推進など前身の3か年緊急対策にはなかった事業メニューが盛り込まれた点を含め、より中長期的な視点から必要な対策を着実に進めていく上でも良質な調査・設計ストックが求められるからだ。

     

     2020年は新型コロナウイルスの感染拡大による影響が限定的なものにとどまり、堅調な国内公共事業が下支えとなって受注、売り上げ、利益とも好決算となった企業も多かった。21年も引き続き強靱化予算の積み増しなど良好な受注環境が見込まれる中であえて受注を抑制するなど規模の拡大にとらわれない企業も少なくない。

     

     足元が確かなこの時期に、人口減少・少子高齢化の進展や疲弊する地方の活性化、さらにアフターコロナの価値変容も踏まえた将来の成長戦略や経営の新たな柱となる事業軸を確立していくため、利益を抑えてでも研究開発費や人材の確保・育成への投資を拡大しようという姿勢が従前以上に鮮明になっている。

     

     キーワードは“脱受注型”のビジネス展開であり、社会課題の解決につながる事業を自ら案件形成していく新たな建設コンサルタント像の確立だ。DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展は、基幹となる建設分野で蓄積してきた技術とノウハウ、膨大なデータを複雑化、多様化する社会課題の解決に向けたソリューションに発展させ、新たなビジネスモデルを生み出していく有用なツールであり、従来の枠組みや事業分野に横ぐしを刺し、業種・産業を超えた連携・協働を促す媒介となる。

     

     IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、ビッグデータ分析の最新技術を活用したビジネス領域は、防災・減災やインフラの点検・維持管理に限らず、交通渋滞の緩和など効率的な物流や救急医療の質的向上、農業や林業のスマート化など社会経済活動全般に広がり、結果としてスマートシティーやスーパーシティーといったまちづくりや都市の運営、エリアマネジメントへとつながっていく。

     

     「安全・安心」を確保し、「持続可能な地域社会」を実現することは、社会資本整備を上流側で担う建設コンサルタント業界にとって最大の社会的使命であり、「一丁目一番地」と言える基幹分野を堅持しつつ、単にハードとしての生活基盤、社会基盤の整備や管理運営にとどまらず、その地域社会を構成するさまざまな要素、自然環境はもとより社会的制度や産業、歴史と文化、人々のコミュニティーまでを含めて、より包括的なインフラサービスを提供する存在へ。デジタル革新の大きな波とともに、建設コンサルタント各社は従来の領域を超えてその可能性を広げる多様な活動をさらに活発化していく。(布田勉)

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    掲載日: 2021年1月12日 | presented by 建設通信新聞

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