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連載・前例なきコロナ対応 変化の兆し(上)
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴い政府は、緊急事態宣言を再発令した。感染者数は前回の発令時より増加しているが、公共工事への影響は限定的となりそうだ。東京都は、前回一時停止した工事の発注手続きを今回は継続する。建設現場などでコロナ対策が浸透したことなどが背景にある。発注件数も回復傾向だ。日刊建設通信新聞社の調べによると、2020年度第3四半期に東京都が実施した特殊工事を除く工事の開札件数は前年同期比4.0%減。2桁減が続いた第1・第2四半期から件数を持ち直している。
【緊急事態再発令も影響は限定的/現場の対策が浸透/都、新規公告を継続】
政府は7日、緊急事態宣言を再発令した。対象は発令当初の1都3県から11都府県に拡大している。再発令と同時に改定した政府の基本的対処方針の中では、公共工事が前回に続き、事業の継続が求められる事業者として位置付けた。国土交通省も、感染対策の徹底を求めつつ事業を継続する方針だ。
20年の前回宣言時、工事や設計などの新規公告を一時的に中止した東京都は、宣言の再発令を受け、財務局が庁内各部局に工事や委託の一時中止について意向を確認するよう通達した。一方で、公共工事や設計等委託の新規公告は通常どおり実施する方針で、昨春とは違う対応を見せる。
今回の対応について財務局の契約調整担当者は、「再発令された宣言の対象業種が限定的」であることを理由の1つに挙げ、「全業種で全国的に緊急事態措置を求めるものではない」と指摘。
また、現状ではコロナによる建設業者の工事中断や現場閉所が少ないこともあり、「入札の競争性などへの影響は少ない」とみている。昨年は、一部ゼネコンによる自主的な工事の中断などもあった。事業者の入札参加機会を確保するという観点でも状況が変わっている。
現場の一時中止措置も、5月下旬の緊急事態宣言の解除後には落ち着きを取り戻した。都は解除後も、受注者からの申し出に応じて対応する方針だが、財務局建築保全部によれば「局内では夏以降に相談はなかった」。建設局総務部も「6月半ばには急速に申し出が減った」と明かす。
上期では減少が目立った工事発注の動きも回復を見せる。都の電子調達システムで公開されている情報を基に、日刊建設通信新聞社が独自に集計した第3四半期(10-12月)の特殊工事を除く工事の開札件数は69件減の1674件で4.0%マイナスとなる。
四半期単位の開札件数は、前年同期比で2桁減が続いていたが、発注件数が多く年度全体への影響が大きい第3四半期は前年度に近い件数となった。このため、4月からの累計の開札件数は上期時点の前年度比24.3%減から15.6%減と1割近く持ち直した。
第3四半期における主な発注部局の推移は、財務局が20.0%増、水道局も11.7%増と前年同期を上回り、下水道局も1件のマイナスにとどまった。一方、減少傾向が続く建設局は13.3%減。減った件数は42件で全体を引き下げる形になった。
回復が遅れている要因として建設局は、工事の前段階にあたる設計、調査の委託が一時ストップしたことなどで、一部工事の発注時期に遅れが出たことを挙げている。
実際、前回宣言に伴い建設局で実施した一時中止措置の意向を確認した現場数に対する割合は、工事が約18%に対し、委託は約23%と高い傾向が出ていた。
委託業務では、コロナ禍を契機にテレワークが加速化している。民間の動きにあわせ、同局も打ち合わせのオンライン化を始め、非接触による対応や進捗管理を進めている状況だ。
工事現場でも、ウェアラブルカメラなどを利用した遠隔管理の試行が始まった。工事件数の多い部局の活用を通して実施要領の策定を目指している。受発注者を巻き込んで浸透している“新しい日常”への対応は、建設産業の仕事の風景に変化を与えつつある。
残り50%掲載日: 2021年1月21日 | presented by 建設通信新聞