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  • 建設論評・足並みそろえ週休2日へ

     平昌オリンピックは、いくつもの感動をもたらしてくれた。中でも印象に残ったのは、金メダルを獲得したスピードスケート女子団体パシュートだ。日本選手3人の見事なまでに足並みのそろった隊列が次々に強豪を倒した。  さて足並みがそろったと言えば、最近の建設業界の週休2日への動きにも驚く。国土交通省、建設業界団体、そして労働組合などだ。

     

     国交省は、設計労務単価の改正や社会保険加入促進、週休2日モデル工事の推進、適正工期指針など、次々に後押しとなる政策を打ち出している。ここ数年の動きは本気度と頼もしさを感じさせる。

     

     大手ゼネコンの経営者団体である日本建設業連合会(日建連)の動きも活発だ。昨年末には「週休二日実現行動計画」を発表した。週休2日は「土曜・日曜の閉所」と明記し、2018年度からは毎月第2土曜日に統一土曜閉所運動を展開する。19年度中に4週6閉所、21年度中に4週8閉所の実現を掲げる。会員企業には行動計画の策定と実施状況のフォローの仕組み整備も求めている。

     

     この計画には「建設サービスは週休2日で提供する」「日給月給の技能者の総収入を減らさない」「建設企業が覚悟を決めて一斉に取り組む」などの言葉も並ぶ。ここまで決意を込めた具体的な計画としたことは高く評価すべきだろう。4週8閉所をもっと前倒しできないものかとも思うが、現実的な計画としては妥当なのだろう。これでも当然、多くの困難には直面しよう。

     

     組合との関係でも日建連は積極的に動いたようだ。2月初めには連合本部で開かれたセミナーで日建連の取り組みを説明したと報じられた。このテーマはまさに労使が目標を共有できるはずであり、日建協などの労組側の働き掛けもあったのだろう。

     

     かつて労組側から完全週休2日実現の動きが高まり、企業も呼応して制度として多くのゼネコンなどで導入された。1989年から3年にかけてだ。結果として本社や支店の内勤部門などでは実現したが、現場までは広がらなかった。

     

     当時も専門工事業を含めた個々の経営者や建設省(現国交省)などに問題意識は広まり、機運は高まったかに見えた。だが残念ながら経営者団体が一丸となって現場レベルまでの行動を打ち出すには至らなかった。背景としてはバブル経済崩壊の大波が企業の余裕を奪い、生き残りに懸命にならざるを得なかったことがある。

     

     30年近くを経たいま、ようやくにしてその足並みがそろい始めた。この隊列に設備や道路業界、中堅・地元ゼネコン、さらになによりも専門工事業界も積極的に加わってほしい。若者が将来に夢を持てる建設業界を築く最大、かつ最後のチャンスかもしれない。大きな壁を打ち破る「チーム建設業界」が必要だ。

     

     業界挙げて不退転の決意で取り組み、ぜひ女子団体パシュートのごとく、目覚ましい成果を上げてほしい。 (新)

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    掲載日: 2018年3月6日 | presented by 建設通信新聞

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