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  • 建設論評・日本を変えるテレワーク先進国へ

     電通が本社ビルを売却するというかなり衝撃的なニュースが流れた。汐留地域はいまや虎ノ門と並ぶ東京の業務エリアとして注目を集めている場所である。その一角を占める巨大企業でさえ、テレワークの時代にその形を変えざるを得なくなったという衝撃である。同社の出社率は現在2割であるという。

     

     他の業種でも同様な事態が進んでいる。特に情報系企業や海外に多くの拠点を抱えている商社などでは、仕事の多くがテレワークに移行し始めているという。

     

     こうした急速な動きの原因は、明らかに新型コロナウイルス感染症の蔓延(まんえん)である。コロナ禍を完全に終息させるには「対面型社会、対面型コミュニケーションの形」を変え、リモートでコミュニケーションを取るしかない。待望されたワクチン接種も始まっているが、感染者が1億人を超えた現在、コロナ禍を完全に終息させることは困難であることは言うまでもない。ウイルスの変異にとどまらず、新たなウイルスの発生も考えられる。ウィズ・ウイルスの形は今後も変わることはないだろう。

     

     対面型から始まった人間社会のコミュニケーションは、技術的な発達により多様化してきたわけだが、それでもコミュニケーションの基本は対面であったし、お互いの顔を見ることができるのはその方法だけだった。しかしながら、コロナ禍はその様相を一変させたのである。直接の対面が困難となれば、遠隔型のコミュニケーション方法を採らざるを得なくなるが、デジタル社会の進展が新たな対面型コミュニケーションを実現したのである。現在のこうした動きは日本にとっては幸いとみなした方がよいだろう。なかなかそうした移行に踏み切ることができない国だからである。この際、デジタル社会をさらに進展させ、新たな空間に生きることに一歩を踏み出すことこそが日本に与えられた課題であり、大きなチャンスだと考える。

     

     そうなると、社会構造は一気にテレワーク型・分散型社会に向けて走り出すことになる。企業は無論のこと、教育施設や官庁、医療施設などでもネットワークでつながる、新たな対面型のコミュニケーションが普及していくかもしれない。

     

     突き詰めれば家族さえも同じ場所で暮らす必然はなくなり、分散化して新たな関係をつくることが考えられる。また分散化が進行すれば反作用が働き、再び新たな関係性に基づいたグループが生まれ、社会構造が変わるようなことに発展するかもしれない。そうしたプロセスはなかなか読み切れないが、既存の仕組みや制度に縛られて身動きの取れない現状から脱却するためにも、そうした方法の導入は不可避ではないかと考える。

     

     さらには「都市の形」さえ変わることになるのではないか。公共施設のあり方や交通のシステムにも、大きな変化が立て続けに起こってくるであろう。結果的にわれわれの社会経済活動も大きく変わるのではないだろうかと考えている。

     

     コロナ禍とテレワークが引き起こす新たな世界の創出に大きな期待を持つことは不謹慎だろうか。 (児)

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    掲載日: 2021年2月2日 | presented by 建設通信新聞

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