建設技術者向けNEWS
建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!
-
企業・技能者の対応案提示/健全な業界への出発点に/国交省の一人親方問題検討会
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>国土交通省は9日、建設業の一人親方問題に関する検討会の第4回会合を開き、対応策(中間取りまとめ)案を示した。実態は雇用労働者であるにもかかわらず、一人親方として仕事をさせている企業を選定しないことなどを盛り込み、下請指導ガイドラインを改訂する。また、労働者側から一元的に相談を受け付けられるよう、建設業界団体に相談窓口を設置することを提案した。
会議の冒頭、同省の美濃芳郎官房審議官は「一人親方という働き方やその技能を否定するものではない」とした上で、「一方、適正でないと考えられる一人親方の犠牲の下にコストを合理化して利益を享受する不適切な事業活動は許容されるべきでない」と断言。「中間取りまとめは出発点、スタートラインである。建設業界として強い危機感と共通認識をもってあるべき姿、方向を目指していくことが必要だ」と述べた。
中間取りまとめ案では、適正一人親方の目安として、10年程度以上の実務経験と建設キャリアアップシステム(CCUS)でレベル3相当以上の技量を持っていることを示した。目安に加えて、安全衛生に関する知識を習得していることなどが適正と考えられる一人親方の例であるとして、下請指導ガイドラインに追記する。
反対に適正でないと考えられる一人親方の具体例もガイドラインに明記する。10年程度以上の実務経験やCCUSでレベル3相当以上の技量がない10-20代の技術者や就業時間、作業内容に具体的な指揮を受けている技能者は労働者として扱うべきだと整理し、雇用契約の締結など各種法令順守の徹底を求める。
作業員名簿上は社員(雇用)としていながら、雇用契約は締結しておらず社会保険にも加入していない一人親方は偽装の可能性があることから、元請企業が技能者本人や下請企業に実態確認し、対応を指導するよう要請する。
明らかに実態が雇用労働者であるにもかかわらず、一人親方として仕事をさせている企業は法令を順守していない恐れがあるため、下請企業として選定しないとする規定を設ける。
技能者側に対しては、自身の働き方や技術力、法令知識の診断をベースとした適切な就業形態の選択を促していく。国が2021年度中に適正一人親方の目安や自己診断チェックリスト、労働者と一人親方の処遇の違いなどをまとめたリーフレットを発行して周知を図る。
自身の就業形態に疑義が生じた技能者が適切な選択をできるよう、業界団体は相談窓口を設置する。業界団体を通じて最適な行政機関につなぐことで、実効性のある対応が取られる環境を整備する。
不明瞭な雇用・請負関係の解決の基礎となり得るCCUSの活用方策は引き続きの検討課題に位置付けた。今後の検討イメージとして、社会保険の加入など働き方の確認のほか、一人親方に対する制度改正や講習、訓練の実施案内への活用などを挙げた。
残り50%掲載日: 2021年3月11日 | presented by 建設通信新聞