建設技術者向けNEWS

　東急建設は、Ａｕｔｏｍａｇｉ（東京都新宿区、櫻井将彦社長）、協立電機（静岡市、西信之社長）と共同で、トンネル工事に使用するシールドマシンの操作をＡＩ（人工知能）で支援する「シールドマシンＡＩ掘進システム」を開発した。切羽の圧力調整と機体の方向制御をＡＩで支援し自動化を目指すシステムで、高い予測精度を持つことを都内で施工中のトンネル工事において実施した実証実験で確認している。

　同システムは、シールドマシン掘進時に得られるさまざまな計測データを取り込んで学習することで最適な制御量を予測する「ＡＩ予測システム」と、予測した制御データをグラフなどに可視化してシールドマシンに伝送する「ＡＩアシストツール」で構成。これらのデータを確認しながらオペレーターが操作する「制御支援モード」と、ＡＩが自ら制御する「自動制御モード」の２つのモードを搭載している。

　リアルタイム学習機能を採用したことで、変化に富む地盤の中での掘進でも速やかに適応でき、１０－２０ｍ程度の学習区間を設ければ作業所の特性に適応したＡＩへと進化していく。ＡＩから出力された予測値などの各種データは、オペレーターだけでなく地上の職員などもリアルタイムで確認でき、過去の掘進制御履歴は動画再生することができるため、昼夜施工などでの作業の引き継ぎにも活用可能だ。

　実証実験では、制御支援モードで切羽の圧力調整と機体の方向制御、自動制御モードで切羽の圧力調整を実施した。制御支援モードの実験では、高い予測精度が確認でき、オペレーターが自らの判断に誤りがないことをチェックするためのツールとして有用なことがわかった。自動制御モードによる切羽の圧力制御実験では、所要の精度内で切羽の圧力を保持しつつ、シールドマシンを掘進させることができた。

　今後は、複数の作業所で実証実験をさらに重ねてデータを蓄積し、同システムの予測精度の向上と機能の拡張に取り組んでいく。