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  • 特集・国土交通省20年目の挑戦(5)

    【5G活用で生産性を向上/新技術のさらなる活用/「スーパー・メガリージョン」を形成】

     

     米国の主要IT企業4社の総称であるGAFAなどのデジタルプラットフォーマーの株式時価総額の上位台頭に表される世界レベルのIT分野の技術革新が進むなか、トヨタ自動車の35位(2018年)が最高位と、国際社会の中で日本企業の存在感が低下している。

     

     また、企業のテレワーク導入の普及率も15年調査で米国85%、英国38%に対して、日本の導入企業の割合は18年でも19.1%と諸外国に比べて低い。コロナ禍によって普及が加速したものの、浸透・定着にはさらなる環境整備が必要となる。キャッシュレス決済比率をみても、主要各国が40-60%台、韓国の90%超に対し、日本はわずか24%(18年)と低水準にとどまっている。これらの国際水準に追い付くために、課題解決に向け、優れた技術を効果的に素早く普及させる必要に迫られている。

     

     工事現場における生産性向上を図るために、無人化施工技術が開発されてきた。また、自然災害が多い日本では、災害復旧工事など、防災の現場でも安全に施工できる技術も独自に発展してきた。しかし、現状のWi-Fiを使った無人化施工では、通信容量の不足、通信の遅延、同時接続機器数の制限などによって、視認性・操作性などが課題となっている。

     

     このため、超高速・大容量、超低遅延、多数同時接続の特長をもつ5G活用が、生産性の向上の活路を開くものとして期待されている。  

     

     また、日本で独自発展してきた技術を活用することで、新技術のさらなる活用も重要である。27年に品川~名古屋間、37年に大阪までの全線開業を予定しているリニア中央新幹線は、山梨実験線の活用や、品川駅から名古屋駅間で大深度地下トンネルなどの工事が進められている。

     

     最高設計速度が時速505㎞という最新技術によって、東京~名古屋間は40分、東京~大阪間は67分で結ばれる。これにより、三大都市圏と地方圏のアクセスの利便性も飛躍的に向上する。三大都市圏が結ばれることで、世界最大の経済規模を持つ「スーパー・メガリージョン」が形成される。その効果は、沿線以外の都市にも拡大し、日本経済全体の発展が期待されている。

     

     インフラ・物流分野では、デジタル化による生産性向上を推進してきた。新型コロナウイルスの感染拡大を契機として、テレワークの活用など、リモート化・デジタル化の重要性が改めて認識された。生産性の向上とともに、感染リスク低減の観点からも、デジタルトランスフォーメーション推進の徹底が必要になる。こうした流れに対応し、国交省は行政手続きの電子化なども進めている。

     

     このほか、自動運転車に関する安全基準を策定し、20年4月施行した。国際議論をリードし、国際基準への反映に取り組んでいる。また、セキュリティーを確保しながら、諸外国ですでに活用している技術を普及促進していく。

     

    【i-Constructionの推進/建設現場の生産性向上】

     

     国土交通省は、ICTの活用などにより、調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までのあらゆる建設生産プロセスで抜本的な生産性向上と、魅力ある建設現場を目指して「i-Construction」を積極展開している。2016年度から土工、17年度から舗装工、浚渫工、18年度から河川浚渫や点検などの維持管理分野、19年度からは地盤改良工や法面工事にICTを導入。土工では3割以上の時間短縮効果を確認した。積算基準の改定や自治体発注工事に対する専門家の派遣など、自治体や中小企業がICT導入しやすくなる環境も整えた。

     

     17年に設立したi-Construction推進コンソーシアムでは、現場ニーズと技術シーズのマッチングを各地方整備局に拡大するなど、技術開発・導入を促進している。17年度創設の「i-Construction大賞」の表彰対象に地方公共団体などの取組みを拡大するなど、普及・促進を後押ししている。また、5G、AI(人工知能)、クラウドなど、革新テクノロジーの導入を進めている。具体的には、無人化施工技術の現場実証や、現場作業員を支援する技術の公募、映像データを活用した監督検査の省力化など、発注者も含めた働き方改革に向けた取り組みを推進する基準類の見直しを産学官連携で取り組んでいる。舗装修繕工など維持修繕分野へのICT施工の拡大、施工プロセスにおける3次元データの部分的活用を認める「簡易型ICT活用工事」の導入、ICT人材の育成なども進め、中小企業や地方公共団体などに裾野を拡大している。

     

    【BIM/CIMの取り組み/20年3月までに累計991件】

     

     BIM/CIMは、調査・計画・設計段階から施工、維持管理の建設生産・管理システムの各段階で、3次元モデルを連携・発展させ、あわせて事業全体に携わる関係者間で情報共有し、生産性と品質確保を向上させる。2012年度から活用業務・工事の試行を始め、20年3月までに累計991件を実施。19年度に活用の視点で既存基準要領等を見直すとともに、発注者が活用する必要事項を整理し、BIM/CIMに関する基準要領等の制・改定を行った。

     

     また、18年度から大規模構造物の詳細設計にBIM/CIMを原則適用し、19年度からは詳細設計のBIM/CIMモデルの成果品がある工事にも原則適用するなど拡大している。

     

     官庁営繕事業でも10-12年度にBIM導入を試行し、14年3月に「官庁営繕事業におけるBIMモデルの作成及び利用に関するガイドライン」を作成した。18年8月には施工段階のBIM活用事例を追加するなど改訂し、19年度には新築工事に加え改修工事にも施工BIMの試行を拡大するなど、積極展開している。このほか、官民一体でBIMを推進する「建築BIM推進会議」を19年6月に設置し、BIMを活用した建築生産などの将来像と実現に向けた工程表をまとめ、実施している。

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    掲載日: 2021年3月31日 | presented by 建設通信新聞

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