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  • 建築確認事前審査にBIM/日本建築センター

    【竹中工務店と国内初の試み/クラウド上で空間把握、質疑】

     

     日本建築センターは、建築確認業務の事前審査にBIMを全面活用した。これまで戸建て住宅など4号建築物の電子申請例はあったが、延べ2000㎡を超える3号建築物の事前審査にBIMを活用した国内初の試みとなる。申請者の竹中工務店と連携し、共有クラウド内にアップしたBIMモデルを通じて審査を完結させた。従来の2次元図面審査に比べ、空間把握や質疑のやり取りが円滑に進み、審査の効率化が実現。将来的に増加が予想される建築確認へのBIM活用ニーズに対応するため、今後は標準化を視野に、多様な建築物や計画変更申請、完了検査の手続きにも活用の幅を拡大する計画だ。 建築プロジェクトへのBIM導入が拡大する中、同センターは建築確認業務におけるBIM活用への有効性を申請企業などにヒアリングし、実現の道を検討してきた。設計施工案件のすべてでBIMの導入を目指す竹中工務店が、東京都内でRC造8階建て延べ2157㎡の事務所ビルの申請準備を進めていたことから、両社連携によるトライアルプロジェクトに位置付けた。

     

     申請プロジェクトが免震構造であるため、大臣認定となる構造はBIM活用の対象外となったものの、建築(意匠)と設備に加え、省エネ適合性判定の審査にもBIMを活用した。審査はBIMモデルとそれから生成した電子図面を使い、概要書などの図書も併せて電子データとして提出し、共有クラウド内で進められた。質疑のやり取りもBIMモデルにコメントを書き込むなど、一連の審査すべてがクラウド内で完結した。

     

     そもそもBIMモデルは図面の整合性が担保されているため、整合性確認の審査時間が大幅に短縮したほか、防耐火構造や避難施設、排煙設備などの規定適合審査でも建築形状を3次元で確認できるBIMの強みが生かされ、空間構成の把握でもメリットが生まれた。

     

     省エネ適合性判定の対象でもある申請プロジェクトはパッシブデザインを積極的に取り入れ、自然採光と自然換気を促す複雑な吹き抜け空間を採用しており、従来の平面図、断面図、立面図だけの審査では理解に時間がかかる懸念があった。竹中工務店は「BIMの視覚化効果により、質疑もより本質的な部分に焦点が当たった」(花岡郁哉東京本店設計部設計第2部門設計4グループ長)と、その効果を振り返る。

     

     審査のプロセスも、効率化が実現した。これまでは意匠の審査で変更が生じた場合、設備などの審査は意匠の結論が固まった後に具体の打ち合わせを始めていた。クラウド内でタイムリーに変更個所が関係者に共有されることから、後工程となる設備などの審査も同時並行で進められる効果があった。同センターの津留邦光確認検査課副主査は「建築確認プロセスでもBIMのフロントローディング効果を得ることができた」と手応えを語る。

     

     両社は、事前審査の前にBIM活用に向けた体制やルール確認など数回の勉強会を実施してきた。事前審査は2017年11月から12月までの約1カ月を費やし、本審査を経て同年12月中に対象プロジェクトの確認済証が交付された。確認申請図書は現時点で法的要件を満たす環境が整っていないため、データから紙への出力を審査機関側で行い、電子捺印を活用する方法も検討したが、図面枚数が多く、印刷後の捺印を申請者が行う必要もあったため、紙による提出にとどまった。

     

     センターは今後も積極的にBIMを活用した 事前審査に取り組む方針。計画変更や完了検査など竣工までの一連の手続きにも活用し、建築確認におけるBIM活用の有効性を整理する。将来のBIM申請ニーズを見据え、段階的に共有クラウドのライセンス数も拡充する計画だ。

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    掲載日: 2018年3月23日 | presented by 建設通信新聞

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