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  • 自民党参院議員・佐藤信秋氏に聞く/働き方改革加速化策は「大きな一歩」

     自民党公共工事品質確保に関する議員連盟(根本匠会長)は3月、石井啓一国土交通相に要望書「建設業の働き方改革と生産性向上について」を提出した。国交省はこれを受け、週休2日制導入を支援するなどの「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定。議連幹事長の佐藤信秋参院議員は「大きな一歩だ」と評価した上で、新3K(給料、休暇、希望)の実現へ施策の進捗(しんちょく)を定期的に確認していく考えを示す。(編集部・岩本英司)

     

     --石井国交相に要望書を提出した狙いは。

     

     「担い手3法(公共工事品質確保促進法〈公共工事品確法〉、建設業法、公共工事入札契約適正化法)が国会で成立して4年が経過した。今真剣に考えなければいけない問題は、新3K(給料、休暇、希望)の実現へ具体的な取り組みを進めていくことだ。インフラを整備・管理する重要性を認識していただき、安定的に予算を確保することで希望が持てるようにする。給料と休暇については、働き方改革の中で建設産業団体の取り組みに対する行政の方向性を示していただくことが重要だと考えた。議連として団体の要望を聞き、大臣に申し入れた」

     

     --長時間労働の是正、給与・社会保険、生産性向上を柱に国交省が加速化プログラムを策定した。

     

     「週休2日を実施した場合、必要経費を計上できるよう労務費などを補正する措置を直轄工事で率先して導入することとなった。大きな一歩を踏み出していただいたと思っている。改定した労務単価が下請の建設会社にも行き渡るよう徹底することも盛り込まれた。議連としてもプログラムに示された施策の実施状況を定期的に報告してもらおうと考えている。その際重要なのは、国が発注主体として取り組むことに加え、公共工事全体で品質を確保する観点から、都道府県や市町村にも施策が浸透していくことだ。民間工事での取り組みを含めて、しっかりとフォローアップできるようにしたい」

     

     --課題は。

     

     「日給月給で働く技能者を月給制とするために、土日を休んでも同じ給料をもらえるようにしなければならない。今回のプログラムに基づく施策で十分かどうかを確認していくことが必要だろう。また、労務費を補正するとなれば、必要経費を確保するのに一手間が掛かる。技術職員を抱えられない自治体に浸透させるのであれば、週休2日に要する経費を取り込んだ労務単価を設定するべきだろう」

     

     「労務単価が6年連続で上昇し、低入札調査基準も引き上げられてきた。現状の落札率は91・2%にまでなったが、予定価格を8~9ポイントほど下回っていることになる。それだけの値引きをする産業はほかにはないのではないか。建設産業を育成し、新3Kを実現するためにも落札率95%以上が定着するようにしなければならない」

     

     --担い手3法が成立してから間もなく4年が経過する。改正公共工事品確法には、施行後5年で見直すことが明記されている。

     

     「改正公共工事品確法にもいくつかの課題が残っていると考えている。地域によっては『限界工事量』を割り込んでいることを指摘する意見があり、市町村単位で建設会社が1社もいない地域も出てきている。地域の建設業の方々に守り手集団として活動してもらうためには、災害や除雪への対応を含めて現在の個別発注を主体とした在り方で良いのかという意見もあるだろう。また、災害時の緊急作業を行う際の契約ももう少し具体的に考えていく必要がある。現場で作業に当たる技能者の処遇改善という問題に法律としてどう切り込むかも課題だ」

     

     --法律の見直しに向けて今後どう取り組む。

     

     「議連として自治体や建設業界から実態を聞かせていただいた上で、課題を整理していく。国交省も建設業法を中心に法律を見直そうとしているので、足並みをそろえて取り組んでいきたい。フォローアップ作業は年内をめどに終えたいと思っている」

     

     --19年10月の消費増税や2020年東京五輪以降も見据えた公共事業予算の在り方をどう考える。

     

     「麻生内閣時代の2009年度当初予算で公共事業費として7・1兆円が確保された。インフラの整備・管理を確実に行うためにも、年度トータルで同等程度を確保する必要がある。19年10月の消費増税判断には、19年度上半期、特に4~6月の景気データが重要な意味を持つ。そのためにも18年度の早い段階で補正予算を編成するべきだろう」

     

     「五輪開催の効果が期待できるのは東京周辺であり、地方への波及は少ないと考えられる。増税前の駆け込み需要の反動減や五輪後の景気の冷え込みも見据え、財政出動の『矢』をきっちりと放ち続けるようにしたい。19年度当初予算から、そうした兆しが見えるようにしなければならないだろう」。

     

     (さとう・のぶあき)元国土交通省事務次官。2007年参院議員選挙(比例代表)初当選、13年再選。1947年11月、新潟県生まれ。

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    掲載日: 2018年4月24日 | presented by 日刊建設工業新聞

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