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  • 特集・免震建築35年

    【次世代システムの構築を】

     

     1980年代初めに免震構造の建築が誕生して約35年。免震構造と制振構造を合わせた計画棟数が1万棟を超えたことが日本免震構造協会の統計でわかった。2015年末現在で計画されている免震・制振建物の棟数であり、30年余りで大台を突破したことになる。この間の普及の歩みはどうだったのか、そして今後どのように普及させていくのか。日本免震構造協会の和田章会長に話を聞いた。【インタビュー・日本免震構造協会 和田章会長/ハイパフォーマンスから普及品まで幅を広げたい】

     

    ◆年間着工床面積4.5%が免震構造

     

     30年余で1万棟が果たして早かったのか遅かったのか、一概には言えません。ただ、1年間に着工する建物の総床面積のうち、免震構造は4.5%という比率です。もっとあって良いという思いはあります。

     

     免震構造は、阪神・淡路大震災、東日本大震災と、大地震があると瞬間風速のように増え、3年くらいすると、少し落ち着いてしまうという普及の仕方を示してきました。東京には最も免震建築が集中しています。起きてほしくはありませんが、もし、東京で大きな地震があって、免震建築の安全性が実証されたら、おそらく爆発的に増えるでしょう。関東大震災から95年も過ぎています。遠くない将来に必ず起きるのですから、地震への備えとして普及していくことを望んでいます。

     

     免震構造を採用した石巻赤十字病院が東日本大震災で果たした役割や貢献は、広く知られるところです。また、一昨年の熊本の地震でも、耐震設計の病院が閉鎖・取り壊しになったのに対して、免震構造の病院は震源に近かったのに無事でした。いまや病院は免震が常識ですし、公共施設も免震構造が多くなっています。あるいは、研究施設や物流センターなどにも免震構造は普及しています。

     

     私は、免震構造で最も重要なのは、人々が安心して暮らせる場を守るということだと考えています。ですから病院や公共施設も大切ですが、できたら、住宅の免震化がもっと必要だと考えます。さらに、災害時に緊急避難場所になる学校の免震化も重要です。

     

    ◆積層ゴム、すべり支承など多彩に

     

     初期の免震構造は、大半が積層ゴムを採用していました。ですが近年は、すべり支承・球面すべり支承など、さまざまな技術・製品が開発・適用されています。多くのメニューがあるという意味では良いことです。

     

     ゴムの耐久性を聞かれますが、100年くらいもつという研究成果もあります。となると、建物本体よりも長持ちするはずです。建物の老朽化で建て替えるとき、免震装置を再利用して新しいビルに使う。近い将来、そんな時代が来るかもしれません。事実、古いビルの耐震改修に使った制振ダンパーを、建て替えるビルに使った事例があります。

     

     また、超高層の免震構造も増えてきました。超高層でも免震構造にするメリットがわかってきたのです。たとえば基礎固定で50階建ての超高層マンションでは、東日本大震災クラスの揺れだと、前後左右120cm程度ぐるぐる揺れます。でも免震構造にすると、免震装置が60cmくらい動いてくれるので、建物の動きは半分の60cmですみます。

     

     その結果、骨組みの歪みが少なくなるので、柱を細くしたり鉄筋を少なくしたりすることが可能です。ですから、建設費が耐震構造より安くすることができます。

     

     一方、超高層では、長周期地震動に対する対策も大切です。東日本大震災を受けて、新宿の超高層ビル群は、大半が制御補強されました。

     

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    掲載日: 2018年4月25日 | presented by 建設通信新聞

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