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連載・建築確認BIM/新たな一歩(2)
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【指摘明確、理解度進む/クラウド使い情報共有】
建築確認の事前審査は、提出された図面を審査側がチェックし、指摘事項がある場合には必要に応じ申請者が確認検査機関まで出向き、意見を聞いた上で手直しをしていた。近年増加する環境配慮の建築物などは複雑になり、図面だけでは空間構成の判断が難しい。それによって審査側からの指摘事項や問い合わせも増え、申請者は何度も検査機関に出向くケースが少なくなかった。
日本建築センターと竹中工務店の試みは、事前審査を共有クラウド内で行うというものだった。申請プロジェクトが免震構造であったため、大臣認定となる構造はBIM活用の対象外となったものの、建築(意匠)や設備に加え、省エネ適合性判定の審査にもBIMを活用した。
BIM活用と言っても、審査は従来と同じように図面を見ながら行うが、図面類は申請者から手渡されたものではなく、共有クラウドにアップロードされたBIMモデル内の図面ビューを使う。プロジェクトはRC造8階建て延べ2157㎡という事務所ビルの典型的なサイズだったが、環境に配慮したパッシブデザインを積極的に取り入れた設計となり、自然採光と自然換気を促す複雑な吹き抜け空間を採用していたため、従来の2次元図面だけでは空間形状を把握することが難しかった。
「理解度が大幅に進んだ」と、竹中工務店東京本店設計部設計第2部門設計4グループの石澤宰氏は共有クラウドを介した事前審査の効果を実感している。通常の事前審査では審査側から質疑項目が示され、改善点のチェックリストが出てくる。文章で書かれているため理解するのに時間がかかる場合もあり、何を求められているかを問い直すケースもあった。
日本建築センターが改善点を共有クラウド内のBIMモデルに記したため、「審査側の指摘意図が明確に分かった」(石澤氏)効果も生まれた。指摘部分を改善した後にデータをクラウドにアップロードすれば履歴も残り、わざわざ出向いて図面を再提出する必要もなくなった。インターネット環境さえあればいつでもアクセスでき、審査側と申請側が同時並行で確認ができるのもクラウド環境ならではのメリットだった。
「双方向の情報共有ができるBIMの効果は予想以上に大きかった」と、日本建築センター確認検査部確認検査課副主査の津留邦光氏が振り返るように、クラウドのコメント機能を多用し、図面データを介してタイムリーに連絡もできた。事前審査では迅速に指摘事項を改善することが求められるだけに、情報共有できるクラウドの利点は事前審査のBIM活用で欠かせないツールとなった。
初のBIM活用事例であったため、生産性向上の具体的な数値は導き出せていないが、従来よりも円滑でしかも濃密な審査が実現したことを審査側、申請者側それぞれが感じた。特に意匠を確定した後、具体的な作業を詰める設備の事前審査ではその効果が如実に表れた。
残り50%掲載日: 2018年5月1日 | presented by 建設通信新聞