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  • 連載・建築確認BIM/新たな一歩(4)

    【審査にも前倒し効果/第2弾にもチャレンジ】

     

     設計や施工段階のBIM活用によって後工程の業務を前倒しで手掛けられるフロントローディング効果は、建築確認の事前審査にも鮮明に出た。日本建築センター確認検査部確認検査課副主査の津留邦光氏は「審査の確度は高まり、より前段階で広範囲を確認する状況になった。その後の手戻りは従来よりも確実に減る」と振り返る。

     

     竹中工務店にも事前審査のフロントローディングが間接的な効果として導き出された。東京本店設計部設計第2部門設計4グループの石澤宰氏は「より本質的な部分に時間をかけられた」と力を込める。対象プロジェクトは2017年末に着工し、設計段階で作成したBIMモデルを施工図の作成にも活用している。

     

     近年の建築プロジェクトでは顧客の環境志向が強まり、竹中工務店では設計時に環境シミュレーションを活用する機会が増え、設計の初期段階では大半のプロジェクトでBIMを取り入れている。対象プロジェクトでは申請図を含めた各種図面の作成を見越し、オブジェクトを整理するとともに、モデルデータのマネジメントにも努めた。それが審査側の業務効率にもつながった。

     

     共有クラウドには、審査側の担当者と申請者側の担当者にアクセス権限が与えられた。竹中工務店は日常業務でBIMを使いこなしているが、日本建築センターの担当者にとってはまさに初めてのBIMとなった。共有クラウド内のBIMモデルを使って図面を確認することが目的となるため、作図操作を覚える必要のないビューア機能を中心に業務を行い、使い方の習得も早かった。

     

     日本建築センターは建築プロジェクトへのBIM導入が急速に拡大する中で、次のトライアルプロジェクトへの挑戦を強く意識している。現在保有する共有クラウドのアカウントはわずかだが、BIM活用へのニーズがさらに高まれば、アカウントの拡充も検討するほか、申請者自身がアカウントを提供する場合にも応じる方針で、真正面からBIMと向き合う。

     

     竹中工務店も「機会とタイミングが合えば、ぜひ第2弾のBIM活用にチャレンジしたい」(花岡郁哉東京本店設計部設計第2部門設計4グループ長)と前向きだ。テンプレートの整備などBIM活用の課題が見えてきただけに「もう一歩前に進みたい」(石澤氏)という前向きな気持ちがある。

     

     対象プロジェクトでは、BIMモデルと関連する電子データだけで事前審査を行うことを確認できたが、一方で審査にBIMを活用する上での課題も浮き彫りになった。津留氏は「改善点が見えたことで、建築確認にBIMを活用する利点が明確になった」と先を見据えている。建築確認BIMの可能性を感じた瞬間でもあった。

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    掲載日: 2018年5月8日 | presented by 建設通信新聞

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