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  • 空港-地域づくり・上/成田開港40年、さらなる機能強化へ

    ◇国際競争力向上や地域の成長エンジンに

     

     20日に開港40周年を迎える成田空港(千葉県成田市)。昨年7月に航空旅客数が累計10億人を超え、3カ月後の10月には国際航空貨物取扱量も累計6000万トンを突破した。世界に開かれた拠点空港の一つとして成田空港の役割は増している。国際競争力の向上や地域との共存共栄などさまざまな課題と向き合いながら、さらなる機能強化に向けた新たな空港・地域づくりが始まっている。(編集部・遠藤奨吾、宮裡將揮)

     

     「アジアのエアラインはグローバルパッセンジャーの40%を占める。空港運営にとってチャンスでもあり、チャレンジでもある。どのような施設にするかではなく、価値あるサービスをいかに提供していくかがさらなる成長の鍵を握る」

     

     先月24日、国際空港評議会(ACI)アジア太平洋地域総会で行われた「2020年以後の空港産業」を主題としたパネルディスカッションで、成田国際空港会社の夏目誠社長は居並ぶ各国空港会社の幹部らにこう訴えた。

     

     アジア太平洋地域の航空需要は過去5年間で平均9%と高い伸び率を示す。約2年後に控える五輪開催などを追い風に、政府は訪日外国人旅行者(インバウンド)数を2020年に4000万人、30年には6000万人にする目標を設定。首都圏空港の機能強化など関連施策を推進している。

     

     同社のほか、国土交通省や千葉県、空港周辺9市町で構成する「成田空港に関する4者協議会」は、滑走路の増設などを含めた機能強化のあり方について数年前から議論を開始。3月13日の会合で機能強化の実施について、最終合意した。

     

     会合後の会見で国交省の蝦名邦晴航空局長は「アジア近隣諸国との空港間競争が激化する中、機能強化の実現がわが国の国際競争力の強化や持続的成長につながるとともに、地域の成長エンジンとなる」と、成田空港の機能強化に期待を表明。森田健作知事は「機能強化は地元や県、国のさらなる発展に多いに寄与するものであり、9市町のみなさんの理解・協力を得ながら頑張っていきたい」と意気込みを語った。

     

     内陸空港である成田で機能強化を進めるには、飛行機の騒音問題や土地の譲渡などといった影響を受ける地元の理解が欠かせない。事業化への理解を得るための説明会を200回以上開き、延べ1万人近い住民に必要性とともに、生活環境の保全や地域振興に関する考え方など、情報発信を積極的に行ってきた。

     

     今回の機能強化策では空港区域を約1000ヘクタール拡張し、延長3500メートルのC滑走路、既設B滑走路(延長2500メートル)の北側延伸(1000メートル)などを進める。空港周辺道路などの関連工事の区域(制限表面に抵触する樹木を含む)は約200ヘクタール。来春をめどに環境影響評価関連の手続きを完了させ、用地取得や住民の移転、設計・工事の発注などを進める。完成までの期間は10年程度を見込む。

     

     機能強化の実施に当たり、夏目社長は「新たな空港建設にも匹敵する大規模事業であり、わが国、そして地域の将来がかかっていると言っても過言ではない」と強調。「空港づくりは地域づくり」との理念に基づき、地域と空港の調和・共生を常に念頭に置きながら、機能強化への理解と地域とのつながりがさらに深まるよう力を注ぐ。

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    掲載日: 2018年5月17日 | presented by 日刊建設工業新聞

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