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  • 空港-地域づくり・下/成田空港を国・地域の宝に/工事の継続発注で期待感

     1978年5月の開港時、成田空港はA滑走路(延長4000メートル)1本で運用を開始した。2002年4月にB滑走路(2180メートル)が加わり、09年10月にB滑走路を北側に320メートル延伸させた。旅客ターミナル施設の新設や増築、改修も段階的に実施。15年4月には成長著しい格安航空会社(LCC)の受け入れ体制を強化するため、第3旅客ターミナルビルがオープンした。

     最近では2020年東京五輪への対応強化に向け、施設の整備や機能拡張に関する工事が活発化。高速離脱誘導路の再編・整備や管制機能の高度化などにより、航空機の滑走路占有時間を短縮する。19年度末までに一連の工事を完了させ、現在1時間当たり68回の発着枠を72回まで増やす計画だ。

     第1、第2ターミナルの大規模リニューアル工事も今夏から順次着手。国内外からより多くの旅客を安全・円滑に受け入れるため、ハード・ソフト両面から世界トップレベルのユニバーサルデザイン(UD)を取り入れた施設づくりを進める。

     成田国際空港会社の長田太代表取締役副社長は「パラリンピックの対応は過去に経験がなく、UDの採用に力を入れている」と説明。選手と一般旅客の動線を分離する必要性も指摘し、「選手専用のターミナルビル整備計画を進めている」と明かす。

     中長期的に旅客数増加が見込まれる中、五輪後を見据えた施設拡張の動きも相次ぐ。A滑走路北側では誘導路の整備に向けた手続きに今春着手し、22年9月末の完工を目指す。LCC専用の第3ターミナルの増築事業では、18年度中に施設計画を固め、19年度から設計に入る見通し。21年度の完成を予定している。

     空港にアクセスする交通機関との連携強化では、将来のターミナル拡張検討エリアである第2ターミナル南側を対象に、鉄道・道路系のアクセス機能を集約したバスターミナルと商業施設による複合施設「アクセスセンター」整備を見据えて基本構想の検討を始める。

     機能強化の関連工事が継続的に発注されることに建設業界の期待も高まる。千葉県建設業協会の畔蒜毅会長は「地域との共存共栄という理念に基づき、関連工事は地元に密着する建設会社を率先して活用してほしい」と要望する。

     畔蒜会長は関係自治体への交付金拡充にとどまらず、空港周辺の各自治体が共存できるような形で面的な地域貢献策などを明示する必要性も指摘。事例として、鉄道や幹線道路などの交通機能が集積する空港西側と同様に、産業立地や人口の減少傾向が目立つ空港東南側の交通ネットワークの拡充整備が地域の発展を後押しすると持論を展開する。

     「空港内は約4万人に及ぶ就業の場となり、周辺は物流関係企業や先端技術産業の立地が進むなど、成田空港は本県にとってもまさに『宝』である」と強調するのは森田健作千葉県知事。機能強化によってさらに産業振興やインフラ整備、生活環境の向上など、さまざまな経済的効果が県全体に波及し、活性化につながることを期待する。

     国際拠点空港として増大する航空需要への適切な対応、質の高い安全・サービスの実現に取り組む一方、地域に根差した交通インフラ拠点としての成田空港の役割もさらに大きくなりそうだ。

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    掲載日: 2018年5月18日 | presented by 日刊建設工業新聞

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