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  • 民間の護岸耐震化促進/支援へ減税措置延長・拡大/国交省 初のガイドライン策定

     国土交通省は、民間事業者による護岸などの耐震改良を促進するため、技術的な支援と税制面での軽減措置を打ち出した。南海トラフ地震などの巨大地震の発生が切迫する中で、民間事業者が保有する護岸も老朽化などにより損壊のリスクにさらされている。初めて策定したガイドラインと減税措置の延長・拡大により、民間事業者の取り組み拡大に弾みをつける狙いだ。

     

     重要港湾以上にある民間事業者が保有する岸壁に関する同省の調査(2018年6月)によると、一般的な耐用年数である築50年を超えたものが26%と全体の4分の1を占める。築40年以上の岸壁をあわせると半数を超える53%となり、今後のさらなる老朽化が危惧(きぐ)される。整備時期が不明とする回答も3割あり、護岸など調査や改修が急務となっている。

     

     そこで同省は民間事業者の取り組みを促すため、有識者による検討委員会を設置し、『港湾における護岸等の耐震性調査・耐震改良のためのガイドライン』を策定した。簡易に護岸などの耐震性を把握できる診断手法と費用負担を軽減できる耐震改良の考え方・工法をまとめている。

     

     簡易に耐震性を把握できるチャート式耐震診断システムは、構造形式や水深など護岸の基本情報と地盤情報を元に、地震による変位量(推定値)を出力できる。外注すると1断面当たり15万円程度かかる診断費用が、システムを利用することで無料で診断できる。

     

     耐震改良工法では、地盤改良など陸側の対策に加え、航路側に捨石やスラグなどの対策工を組み合わせることで、費用や期間が軽減される。ガイドラインでは、桟橋の改修を例に、民間事業者の敷地内だけで行う工法に比べ、費用が2分の1になるケースを紹介している。

     

     税制面では耐震改修の法人税と固定資産税の軽減措置を受けることができる制度を18年度に拡充し、延長した。法人税の特例措置は20年度末までに耐震性の点検結果を港湾管理者に報告し、報告から3年以内に耐震改修を行った施設に対して、改修資産の取得時に取得価額の18%を特別償却できる。全国の港湾隣接地域内の護岸、岸壁、桟橋が対象となる。南海トラフ地震、首都直下地震の防災対策推進地域等にあって、緊急確保航路に接続する拡充対象港湾の35港については、22%の特別償却を受けることができる。

     

     固定資産税の特例措置は、南海トラフ地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の防災対策推進地域等にある重要港湾以上の82港を対象に、耐震改修を行った施設の固定資産税が取得後5年間軽減される。軽減の割合は原則6分の5で、拡充対象港湾の35港は2分の1となっている。対象施設は大規模地震対策施設である岸壁などや石油桟橋に至る航路・泊地沿いの護岸、岸壁、物揚場。港湾計画に位置付けられ、港湾法第55条の8に基づく、国の無利子貸付を受けていることが適用要件となる。

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    掲載日: 2018年6月25日 | presented by 建設通信新聞

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