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  • 話題縦横・適正設定へ官民双方に法的規制

    【受注者「工期ダンピング」、発注者「著しく短い工期」禁止/勧告制度で実効性を担保】

     

     建設工事における「適正な工期設定」に注目が集まっている。背景にあるのは、国土交通省の中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会「基本問題小委員会」が22日に策定・公表した中間とりまとめ。建設業法の改正など、制度的な対応事項の具体化を求める、この提言に受発注者の双方に対する“法的な規制”が盛り込まれているからだ。 取り組みの出発点となっているのは、国策としての推進が求められている「働き方改革」の推進だ。

     

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     特に時間外労働(残業時間)に対する上限規制の適用を見据える中で、いまや他産業で当たり前となっている週休2日の確保が十分でないなど、建設業にとっては、長時間労働の是正が喫緊の課題。実際に、この10年の状況をみても、他産業の総労働時間が約90時間も減少している一方で、建設業に大きな改善は見られていない。

     

     週休2日の推進を柱の1つとする新たな施策パッケージ『建設業働き方改革加速化プログラム』を策定するなど、その動きは着実に進展してきているが、長年の慣習によって定着してきた長時間労働の是正へ、建設業法における規制など“制度的な対応”が必要と判断した。

     

    ◆ ◇ ◆

     

     対応の方向性として打ち出すのが、受発注者の双方における「適正な工期設定の推進」となる。

     

     中央建設業審議会が作成する“工期に関する基準”によって、前提となる「適正な工期設定に関する考え方(基準)」を明確化。焦点となる「適正な工期とは何か」を明らかにすることで、違法な長時間労働につながりかねない不当に短い工期での請負契約の締結を防ぐ。

     

     この工期に関する基準を前提に、昨年8月に策定した『建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン』に示す、不当に短い工期による請負契約の禁止(発注者の役割)や工期ダンピングの禁止(受注者の役割)といった受発注者の双方に対する責務を制度化。建設業法への規定によって、受発注者に対する直接的な規制に踏み出す。

     

    ◆ ◇ ◆

     

     特にポイントになりそうなのが、現行の建設業法に「不当に低い請負代金の禁止」が規定されていることを参考に、注文者(発注者)の責務として「通常必要と認められる期間に照らして“著しく短い工期”による請負契約を締結してはならない」ことを規定する点だろう。

     

     取り組みの実効性を担保することを目的に、仮に著しく短い工期による請負契約になっているケースなど、注文者が前述の規定に違反した場合に、その注文者に必要な勧告を行うことができる体制(勧告制度の創設)を敷く。

     

     この受発注者の双方に対する規制の“網”が、公共工事の受発注者だけでなく、民間工事の受発注者にも波及してくる点を踏まえれば、この工期に対する“直接的な規制”が建設産業に与えるインパクトは大きい。

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    掲載日: 2018年6月28日 | presented by 建設通信新聞

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