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  • 時流奔流・土木学会D&Iウイーク/多様な人材活躍する仕組みを/時間資源を有効な経営資源に

     土木学会(小林潔司会長)は、ダイバーシティとインクルージョンを考える1週間として、2日から7日まで「土木学会D&Iウイーク」を東京都新宿区の同学会で開催した。初日の2日は「多様性が生産性を高める-土木界の働き方改革」をテーマとしたD&Iフォーラムがあり、ダイバーシティ経営のあり方や、これを実現するための働き方改革について議論を深めた。 「誤解の多いダイバーシティ経営-働き方改革と生産性向上」と題して講演した佐藤博樹中央大大学院戦略経営研究科教授は、「ダイバーシティ経営とは、多様な価値観を持った人を受け入れるだけではなく、一人ひとりの個性や能力を生かすということ。いままでの特定の人しか活躍できない仕組みを変えていく必要がある。働き方改革とはダイバーシティ経営のための土台づくりである」と強調した。

     

     「特定の人」とは、「これまで企業が中核人材として活用してきた、男性でフルタイム勤務、転勤や残業の要請に対応可能な人材層」を指す。わが国の生産年齢人口が今後減少していく中で、こうした人材層も縮小していくだけに、「適材と考える従来の人材像を見直し、それ以外の多様な人材を受け入れることができる企業組織とすることが、企業が存続・成長するためには不可欠」とし、いつでも残業できる時間制約のない「ワーク・ワーク社員」ではなく、時間制約のある「ワーク・ライフ社員」を前提とした仕事管理・働き方への転換が必要だと訴えた。

     

     そのためには「時間管理が大事になる。残業時間の削減が働き方改革ではない。安易な残業依存体質を解消し、生産性の高い労働を重視すること。時間をかけた働き方を評価する職場風土を変えていくことが必要になる」と指摘。「時間資源を有効な経営資源ととらえる。人間は制約がないと工夫しない。無駄な仕事を排除し、仕事の優先順位をつけ、過剰品質を解消し、仕事の効率化を図る。仕事の見える化や情報共有を進めることで一人ひとりの能力向上にもつながる」とした。

     

     「残業の総量規制だけではなく、平日のゆとりを確保するためのメリハリワークを目指すべき」とも提起。「ただ残業するのではなく、きょうやるべき仕事なのか、明日でもいいのかを考えること。週2日は定時で帰れるようにする。一斉でなくていい。自分の生活を豊かにするために働き方を変える。それによってリフレッシュして、またいい仕事ができるという好循環になっていく」とその効用を説いた。

     

     佐藤教授と長谷川伸一パシフィックコンサルタンツ会長、須田久美子鹿島土木管理本部土木企画部ダイバーシティ・働き方改革担当部長によるパネルディスカッションでは、長谷川会長が「長時間労働に支えられた従来の働き方では会社の将来はない。経営上の大きなリスクになる」としてワークライフバランスの推進に取り組んだ経緯を紹介。

     

     さらに「多様性を価値として生かしていく」とD&I経営へと進化させる過程で「コンプライアンスや長時間労働の徹底的な排除、そのために受注が減少しても会社は倒産しない。逆にこういうことにきちんと対応できれば将来的に魅力的で働きやすい組織となり優秀な人材が集まる。それが勝ち組になっていくということを徹底的に話した」という。結果として「仕事の効率性が上がり、利益が向上して、それを還元することで社員との信頼関係が築かれ、社員も働くだけの生活から自己研さんや趣味、家族との絆を深めるなど、活性化して人間力が上がっていく。会社にとっても大きな魅力となる」という好循環を生み出していく。特に注力したのが「管理職のマネジメント」であり、「一貫した会社の本気度を見せること」だったとも。

     

     土木の総合職として鹿島に入社。技術研究所と設計部門を経て同社初の女性所長となった須田氏は、女性土木技術者が仕事を続けるコツとして「好きなこと、没頭できることを見つけて仕事を楽しむこと、目標を設定すること、夢をあきらめないこと。なにより土木の仕事に生きがいややりがいを感じて仕事にしたい、続けたいという意欲があることが大事」としたほか、「土木技術者に男性も女性もない。やりにくい、大変だと感じるなら、それは女性だからではなく、1人の人間として未熟なせい」だときっぱり。「次なる土木の100年」として現場における土木技術者の女性比率を30%まで上げていく必要性にも言及した。

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    掲載日: 2018年7月11日 | presented by 建設通信新聞

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