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水の再利用/日本主導、初の国際規格/健康リスク評価高度技術で競争力向上
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>世界的な水不足を背景に活発化する水の再利用に関して、日本主導による初の国際規格「ISO20426」(健康リスク)が発行された。水需要が拡大しているアジアや中東などでは、下水処理水を生活用水、農業用水、工業用水に再利用して、水資源を生み出す取り組みが盛んになっている。日本は再生水分野で膜処理技術に関して高度な技術を保有しているが、廉価で粗悪な海外製品も流通しており、膜処理技術自体の信頼性の低下や市場の縮小などの懸念もある。評価基準を国際標準として確立することにより、日本の優位技術の競争力向上を目指す。 再生水の利用促進は、日本とイスラエル、中国の共同提案により、2013年6月に国際標準の策定を目的としてISOに専門委員会(TC282)が設立された。日本は再生水利用システムにおけるリスクと性能の評価、中国は都市利用、イスラエルはかんがい利用についてそれぞれ主導し、標準化に向けた検討を進めてきた。
ことし5月には韓国・ソウルで国際会議が開かれ=写真、日本が幹事を務めるリスクと性能評価の分科委員会の検討項目のうち、「健康リスク評価」のISO規格が策定された。今回発行となったISO20426(健康リスク)は、再生水の安全性を利用者の健康リスクの観点から評価する規格だ。
再生水の非飲料用用途においては、健康リスクの定性評価を基本とする。ただし、親水利用など人と接触するリスクの高い用途については定量評価・管理を選択できる。再生水中に含まれる汚染物質によって引き起こされる病原性微生物の健康リスクの計算方法を付則に記載。定量評価を一部だが国際標準化できたことで、日本の水処理技術の差別化が可能となった。
次いで、国際規格化を目指す「水質グレード」は再生水に対する利用者の誤解や偏見を軽減させるため、水質の表示の規格を策定する。分類は接触の度合いによって水質グレードを3段階で設定する。各グレードに相当する水質は各国で設定可能だ。水質階級の表示方法を例示した表や適切な既存のシンボルマークがあれば、補足情報として追加するなどの修正を行い、最終原案として提出する。
同じく国際規格化に向けた検討を進めている「性能評価」は、再生水の処理技術の性能評価方法を示す。処理技術の特性が正しく評価されることで適正な技術の利用を促進する。機能的要件における定量化はせず、環境効率性は非機能的要件で評価する方向だ。
他の規格で示されている水質レベル表と性能評価の規格における水質レベル表の関係を整理した表を追加し、最終原案として提出する。
そのほか、システム環境性能やオゾン処理、UV処理、膜分離など個別技術の検討も進んでおり、11月に予定する中国・深●(土へんに川)での次回会合でさらなる進展に取り組む。
残り50%掲載日: 2018年7月20日 | presented by 建設通信新聞