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  • project・新東名高速道路「河内川橋」

     神奈川県足柄上郡を流れる河内川。NEXCO中日本が新東名高速道路未開通区間の要衝でもあるこの川に架ける高速道路橋が、国内最大級の特殊アーチ橋「河内川橋」だ。左岸・東京側にインクライン、右岸・御殿場側に工事用トンネルを設け、作業員や資材を運搬し、高低差が激しい急峻な谷部の川面から高さ120mに、長さ約770mの橋を建設する。2020年度末の完成に向けて、現場では施工を担当する鹿島・大成建設JVが、両岸の山肌に深さ35mの穴を掘削して基礎を打ち込むために準備をしている。【国内最大級のバランスドアーチ橋/急傾斜の山に基礎を打ち込む/インクライン使い資機材運搬/発注者=NEXCO中日本 施工=鹿島・大成建設JV】

     

     河内川橋は、橋長771m、橋脚の最大高さが88m、アーチスパン220mの鋼・コンクリート複合構造のバランスドアーチ橋。秦野ICと御殿場ICの間、神奈川県上郡山北町湯触322-1の丹沢山地西端の谷部で河内川を渡河する位置に建設する。傾斜が40度を超す厳しい地形への対応が、新東名の早期開通に向けた工期短縮の最大のかぎとなる。

     

     河内川橋の施工手順は、下部工として両岸の山の斜面に深さ35mの穴を掘削し、コンクリートを打設して直径17mの基礎を打ち込むことから始まる。その上に橋脚を施工して、橋脚からアーチ部を張り出し架設する。コンクリートのアーチリブ、鋼部材の鉛直材、補剛桁、斜吊材という、材料と構造が異なる4種類の部材でトラスを形成しながら両側にバランスを取って張り出し架設する。

     

     傾斜が大きい地形に橋脚基礎などの大型構造物を構築する場合、施工ヤードまでのアプローチとして、一般的には大規模な仮桟橋を構築する。しかし、伐採範囲が広くなることで自然環境の影響や、工程の制約が大きくなるといった課題がある。そこで、これらを解消するために同現場に採用したのがインクラインと呼ばれる“巨大なエスカレーター”の運搬設備だ。最小限の伐採範囲でレールを構築し、資機材や重機、作業員を乗せた台車が傾斜に沿って昇降する。

     

     インクラインは「手延べ式」と呼ばれる施工法で構築する。地上のクレーンで届く範囲のレールと台車を構築した後、台車にクレーンを搭載して、1スパンずつ構築とせり上がりを繰り返して約100mのレールをつくる。「現在は半分まで伸びていて、すべて完成するには1年以上かかる」(鹿島)という。

     

     最大積載荷重90t、1スパン20×8mのフロアサイズは、ミキサー車が4台乗れるほどの国内最大級の大きさを誇る。「(インクラインは)ダム現場でよく用いるが、橋梁でこれだけの大規模のものを使うのは非常に珍しい」(同)。

     

     インクラインはあくまで基礎をつくるための設備なので、基礎ができれば撤去する。「インクラインに限らず、狭いエリアでの作業なので、つくっては壊すの繰り返し」(NEXCO中日本)が続く。

     

     一方の右岸は、約230mの工事用トンネル2本で施工ヤードにアクセスする。人・工事車両用は7月に貫通済みで、土砂運搬用は11月下旬に完成する。工事用トンネルは全体工事が完了すると埋め戻す。

     

     新東名は、神奈川県海老名市を起点に静岡県を経由して愛知県豊田市に至る約270㎞の高速道路。22年度の全線開通に向けて未開通区間の整備が急ピッチで進む。

     

    ◆現場最前線でドボジョ奮闘

     

     現場では藤岡彩永佳さん(鹿島)と大吉風花さん(同)の2人の“ドボジョ”も奮闘している。コンクリート主任技士の藤岡さんは「安全面で日々の状況にアンテナを張り、自分の目で現場を見て状況を把握」、入社2年目の大吉さんは「(施工管理する)インクラインは、ミリ単位で行う管理や測量の遅れが施工に影響する。いかに職人を待たせずに安全に仕事をしてもらうか」を心掛けている。2人とも仕事を進める上で、「業務に限らずコミュニケーションを取ること」の重要性を挙げた。

     

    ◆リコチャレ開催 ダイナミックな現場体感

     

     NEXCO中日本は「リコチャレ」として女子中高生17人を新東名高速道路河内川橋工事現場に招いた=写真。参加者は、山をつなぎ川を渡す橋がどのようにつくられるか、ダイナミックな土木工事を体感しながら学んだ。座談会では「大学で建築、土木どちらを学ぶか」や「ライフイベントが発生した場合は」などの質問に対して、4人の“ドボジョ”が丁寧に答えた。野老夏未さん(神奈川総合高校2年)は「料金所での仕事に興味があったが、道路や橋をつくる土木工事にも興味が沸いた」と感想を述べた。

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    掲載日: 2018年8月21日 | presented by 建設通信新聞

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