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設計3会「資格制度改善」共同提案/受験者増加へ魅力向上必要
// 本文の表示 画像がセットされていない場合は、画像分の余白ができてしまうのでtxtクラスは使わない。 ログインしていない場合も画像は表示しない。?>【早期立法化求める声多数/本社調べ】
日本建築士会連合会と日本建築士事務所協会連合会、日本建築家協会の設計3会が、自民党建築設計議員連盟に要望した「建築士資格制度の改善に関する共同提案」では、資格取得の実務要件の合理化と範囲拡大や、教育・実務の実態を踏まえた学科試験の導入など6項目が示された。日刊建設通信新聞社が全国約120の建築設計事務所にアンケートを実施した結果、ほとんどの事務所が共同提案に賛同し、早期の立法化を求める声が多かった。一方で、受験者数減少への「対症療法的な施策では質の低下を招く」との懸念もあり、取得後の研さんや資格者の社会的地位の保障、独占業務の拡大など「建築業界の魅力そのものを向上させる必要がある」との意見も目立った。 3会が動き出した背景は、2007年からの10年間で1級建築士学科試験の受験者数が約4割減少したことで、担い手の確保に不安を感じたからだ。そうした中で建築士資格試験そのものについて、「士法の施行以来、マイナーチェンジはあったものの、大幅な見直し時期に来ている」(大手)との声がある。
建築士を目指す若者が減っている要因の1つとして、「業務量の増大と労働時間、責任の重さに対して、報酬が見合っていない」(地方大手)ことが人気の低下を招いており、「建築士の仕事に魅力を持たせ、社会的地位の保障と生活水準の向上が必要」(同)とする意見も多く寄せられた。
受験者数の増加を狙った今回の改善案に賛同する事務所は多い。「(若手が)業務と並行して受験勉強に打ち込むため、資格取得自体が目的となり、それを生かす前に力尽きている」(地方中堅)とみる経営者もいる。
大手組織事務所のうちの1社は、「現行では実プロジェクトに追われ学習時間を確保できないケースが散見される」とした上で、製図試験の受験回数を無期限にすることについては「自分を追い込む環境がなくなる」と、学科試験のみの合格者が滞留することを懸念する声もあった。
別の大手事務所では、大学院インターンシップ制度で実務経験の免除を受ける新入社員が増えており、入社10年未満の若手が合格するまでの期間が平均3.3年かかっている。これに対し「入社3年目から仕事が忙しくなり始め、資格を取り損なう社員もいる」という。同様に「現状は大学院修了者が増えており、試験合格後の実務経験による登録が望ましい」と、改善案を好意的に受け取る事務所も多かった。
試験の内容の見直しについても「昔に比べて難易度が高まり、費用や時間など受験対策の負担が大きい」(大手)、「問題作成者が実務を理解していなければ不毛な資格試験になる」(同)など、業務と試験との乖離(かいり)を指摘。資格スクールへの講習料を補助している事務所もあるものの、「合格までの費用と時間が受験者が敬遠する理由」との意見もあった。
また、受験者数の増加には賛同するものの、「合格基準がゆるみ建築士の質が低下する」という意見も多くみられた。中には「資格に有効期限を設けることで、取得後の定期的な研さんを義務化すべき」との声もあった。
さらに意匠・構造・設備の各設計業務が分業化される中、「現状では設備設計と建築設計が同じことを学ぶ必要があるのか」(専業事務所)との疑問から、それぞれ独立した国家試験の開催を求める意見も。また、1級建築士と同様に「構造・設備設計1級建築士の実務経験年数についても見直しを進めてもらいたい」(同)とする声や「年1回の試験を複数回にすべき」(同)との意見もあった。
残り50%掲載日: 2018年8月22日 | presented by 建設通信新聞