当サイトについて 採用ご担当者様
会員登録はこちら 求人検索

建設技術者向けNEWS

建設技術者の方が知りたい情報を絶賛配信中
会員登録いただくと無料で閲覧可能です!

  • 本社調べ 設計事務所の協業・連携/ゼネコン依頼が増加/事務所主導型のあり方模索

     意匠・構造・設備の分業体制が確立されている建築設計事務所において、協力事務所との連携体制は欠かせない。さらに施主の要望で設計施工一括発注方式(デザインビルド)が普及し、ゼネコンと協業する機会も増えている。日刊建設通信新聞社が全国約120の設計事務所を対象に実施したアンケートからは、各社とも“設計と施工の分離”という基本姿勢は堅持しつつも、連携・協業におけるさまざまな考え方が浮かび上がった。 今回の調査では、「施主からの求めに応じてゼネコンと組む機会が増えた」との回答が多かった。異口同音にゼネコン主導型の現状のデザインビルドのあり方を疑問視しつつも、「設計事務所の技術力・コストマネジメント能力の不足が要因であることは否定できない」(地方大手)とする意見や、「われわれに比べて大手ゼネコン設計部の技術力ははるかに上。分離発注の良さを伝えつつ、技術力を高めなければ存続・継承はない」(地方中小)と危機感を募らせる声も上がった。

     

     こうした中、「ゼネコンやコンサルから営業段階で設計協力を依頼されるケースが増えている」(地方大手)と、ゼネコン設計部の技術力とマンパワー不足を補完する役割を担うことも。建築設計の業務領域が拡張し、より高度な専門性が求められる中、「すべてを自前でできる時代ではない」(地方大手)と、時代や環境の変化と受け止める経営者もいる。

     

     ある大手組織設計事務所は、「これまでは広範な専門知識のまとめ役としてプロジェクトを主導してきたが、技術の進歩と業務の拡大が設計者のそれを上回るようになった」と指摘。設計者の主導権が奪われたという認識のもと、「自らの役割を再認識し、各専門家の見識をとりまとめる地位にとどまるとともに、社会的にそれらが担保される仕組みが必要だ」とした。

     

     一方、別の大手組織設計事務所は、「事業機会や領域拡張のため、同業他社やゼネコンとの連携を必要に応じて進めており、今後も継続していく予定」と語る。さらに特定分野に強い事務所では、ゼネコン設計部との協業を「自社のマンパワー不足を解消する機会であり、ゼネコンのノウハウを取り入れたい」と、設計事務所が主体の業務提携・連携のあり方を探る。

     

     また、幅広い領域をカバーできる総合設計事務所では、「ゼネコンやコンサルとは構造設計専門企業、意匠専業や展示設計企業とは組織設計事務所として共同設計を積極的に展開している」と、求められる役割にさまざまな“顔”で応じる設計事務所もある。

     

     ゼネコンなどから声が掛かっても「人材を割く余裕がない」「初期段階で人材の投入が求められ、スタッフの疲労リスクなどマイナス面も多い」と、人材や経営体力の不足から敬遠することもあるという。このほか、「設計・施工各企業それぞれが独自に展開しているBIMが本格化すれば、発注図と施工図の境界分けがなくなり、必然と協働作業となる」(大手)と、共通基盤の構築に期待を寄せる声も。

     

     分業体制に欠かせない構造や設備の協力事務所との関係も変化しつつある。意匠中心の事務所では、「契約している協力事務所から多忙で断られることもあり、専属契約も視野に入れたい」「設備・構造設計事務所の吸収合併も検討したい」と専門技術者の確保に向けた動きが進む。地方では「M&A(企業の合併・買収)の事例も見聞きしており、他人事ではない」と危機感を募らせる中堅事務所や、小規模ながら「存続会社として他社から合併を求められたことがある」と、事務所の存廃をめぐる動きも少しずつだが、確実に起こりつつあるという。

    残り50%
    ログインして続きを読む 会員でない方はこちらよりご登録ください

    掲載日: 2018年8月27日 | presented by 建設通信新聞

前の記事記事一覧次の記事